139日目:船の妖精。
神聖歴六一〇二年・
宿の自室。ベッドの上で金貨を並べながら一人ゴロゴロ。
はぁ~凄い……凄いです。金貨が二三枚もあります!
二〇枚は借りものですけどそれでも凄いです。
あぁ、この輝きの中に埋もれてしまいたい……金貨、とっても綺麗です。
そんなことをしていたら、並べていた金貨が横からザーッと回収されます。
驚いてベッドから飛び起きると、金貨を革袋に仕舞うノアさんの姿が……。
うっ……いつの間に部屋に来たんですか……。
というか、いつもに増して刺々しいその視線を止めてください!
……わ、分かってますよ! 今日中にちゃんと支払いに行きますってば!
でも、でも今だけは……もう少し幸せに浸らせてくださいぃ~。
……ダメでした。……金貨二〇枚、取り上げられちゃいました。
支払時まで私が預かりますって……悲しいです。
私って金貨を目の前にしたらそんなにダメな子なんですかね?
……諦めて朝ご飯に行きましょう。
船の代金を払い終えたら今日もお仕事です……借金生活は辛いです。
朝食を終え、船を造っている船渠へ。
折角ですし船の様子も見ていきましょう。
あとどれくらいで完成するのか気になりますしね。
というわけで建造現場に立ち寄ってみると……え? どういうことです?
思わず驚きで目を瞬かせてしまいました。
ノアさんとニコさんも目を丸めています。
だって以前の魚の骨みたいな状態が今ではほぼ船の形になってるんですよ?
あまりに不思議なので、なにか知っていそうなミアさんに質問してみます。
……船ってこんなに早く完成するんですか?
すると首を横に振り、普通ならできないにゃ~、とミアさん。
それから、アレのお陰にゃ、と指し示す先には船で作業中の人影。
うん? 普通の船大工さんと思っていましたがなにか違うんでしょうか?
そう思って目を凝らして見てみると……あれ?
船大工さんに混じって小さな人影があっちこっち動きまわっています。
身長にして六〇センチほど……なにかの妖精でしょうか?
その奇妙な存在に困惑しているとミアさんが説明してくれます。
彼らはクラバウターマンと呼ばれる妖精なんだそうです。
普通は船に宿りその航海を守護する存在らしいんですが、何故かここのクラバウターマンは船渠に宿っているんだとか。
そして、色々な魔術を駆使して船の修理や建造を手伝ってくれるらしいです。
ここで造った船は滅多に沈まないって有名にゃ、と自慢げに胸を張るミアさん。
あ、だからミアさんの前の船も沈まずに港へ戻って来れたんですね……。
あの被害で沈没してないのが不思議でしたが、ようやく納得できました。
さて、船の建造も順調そうですし、代金を支払って帰りましょう。
このあとはお仕事が残ってますからね!
今まで以上に頑張って働かないといけません。
借金返済までの道は長く険しいのです……。
今日の収支
銀貨:+10枚(依頼報酬)
-4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)
金貨:-20枚(船建造費)
――――――――
残金:金貨3枚、銀貨67枚、銅貨21枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨20枚。
(;´▽`A`` 借金返せますかね……不安です。
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