138日目:融資はつまり借金です。
神聖歴六一〇二年・
今日は昨日予定した通り、猫又商会へ向かいます。
……でも、どうしてこんなことになったんでしょう?
最初はミアさん自身で船の費用は稼ぐという話だったのに……。
……いつの間にか支払いの中心が私になっちゃってます。
一体どこで間違えたのか……なんか詐欺にあった気分です。
商会があるのは以前訪れた街の中心部。この街最大の商業地区です。
猫を模した看板を掲げた赤いレンガ造りのお店、猫又商会マーガ本店。
とりあえず店の前に来ましたけど……緊張しますね。
商業ギルドと同じように、出入りする人は皆さん高価な服を着込んでいます。
……でも、大丈夫です! 私も今回はちゃんとした服です!
鎧ではなく黒を基調にしたそれなりの正装……自信を持ちましょう!
などと思っていると、入らないのかにゃ? と扉に手をかけるミアさん。
あぁ……待ってください! 今行きます!
って、どうして貴女はいつもの鎧姿なんですか? ニコさんも白衣だし!
なんでしょう……服を気にしていた私が馬鹿みたいです。
しかし、店に入ると周囲から一斉に視線が集まってきました。
……うぅ、恥ずかしいです。
正装とメイド服、白衣に加えて水着鎧の四人組。
……そんな妙な組み合わせの集団が目立たないわけがないのです。
四方から飛んでくる好奇の眼差しに耐えつつ、受付へ。
そこには白い猫耳のお姉さんがいました。
露骨に怪しむ彼女に会員カードを渡し、ブランさんに会いたいことを伝えます。
最初は胡散臭そうにしていましたがカードを見た瞬間、目を丸めるお姉さん。
そして、暫く待つように言うと慌てて店の奥へ走っていきます。
少しするとお姉さんがブランさんを連れて戻ってきたんですけど……。
ブランさんが来てから私たちに対する周りの対応がガラリと変化します。
周囲からの不躾な視線は消え、店員さんの応対も凄く丁寧に……。
え? もしかしてブランさんってかなり偉い人なんでしょうか……?
困惑していると、ブランさんと個室で話をする流れに……。
調度品のどれもがとても高価な個室とか……緊張でお腹が痛いです。
でも頑張りましょう! ここが正念場です!
今までの経緯を話し終え、融資してもらえないか単刀直入に尋ねます。
下手な交渉よりブランさんならこの方が良い筈です。
ブランさんは少し悩むそぶりを見せたあと……笑って頷いてくれました。
但し、融資にはやはり条件があります。
・返済期限は一年間。(無利子)
・冒険で得た貴重な素材は優先的に商会へ売却すること。
・冒険に必要な道具は商会から購入すること。
・商会からの依頼を優先的に受けること。
などですが……借りる金額の割には条件が緩いですね……。
すると、友人特典ですよ、と微笑むブランさん……ありがとございます!
でも、これでお金の心配はなくなりましたね!
明日からもお仕事を頑張りましょう!
今日の収支
銀貨: -4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)
金貨:+20枚(猫又商会融資)
――――――――
残金:金貨23枚、銀貨61枚、銅貨21枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨20枚。
(ノ_-;)ハア…上手くいきましたが借金生活の始まりです。
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