132日目:……飲んじゃいました。
神聖歴六一〇二年・
はぁ、はぁ、はぁ……つ、疲れました……。
……でも、どうにか第一階層まで逃げ切りましたよ。
途中からソシオが皆を背に乗せて走ってくれたので助かりました……。
よし、地上まであとちょっと……もう少し頑張りましょう。
……けれどダンジョンを歩く皆の足取りは非常に重いです。
虫の大群からの逃走に、モンスターハウス、最後の大海蛇……。
全員の疲労はピークに達しています。
……この状態で大蟹の大群とかに出会ったら万事休すです。
相手にできても一匹が限界でしょう……。
とか思っていたら、前方に現れる大蟹三匹……。
ダンジョンってどうしてこう意地悪なんですかね?
……疲れ果てている時に限って、次から次に問題が起こります。
まるで意思を持って冒険者を襲ってくるみたいです……。
これがきっとダンジョンが牙をむくってやつなんでしょうね。
私が小剣を抜くと、
一匹が限度にゃー、と言い浮かべる笑顔にもいつもの元気がありません。
私も相手にできるのはノアさんと協力して一匹がやっとです。
……残り一匹……ニコさんには流石に任せられませんし……。
鋏を打ち鳴らしながら迫る三匹の大蟹。
その姿に絶望を感じていると、飲みますか? と目の前に差し出される小瓶。
それはニコさんがよく飲んでいた黄緑色のお薬でした。
使えば不眠不休で働けるとか自慢していた、例のアレです。
……効果はニコさんで実証済み……この状況では仕方ありませんね。
ミアさんとそれぞれ受け取り、一気に飲み干します。
その瞬間、喉を焼く強烈な甘み……うぅ、ベタベタします。吐きそうです。
けど我慢して飲み込むと……急に体が軽くなってきました!
ミアさんも目を丸めて驚いています……これなら戦えるかもしれません!
結果は大勝利です。なんか今までで一番楽だった気がしますね!
この調子ならまだまだ全然余裕です!
そんな私とミアさんの様子に興味を惹かれたのか、小瓶を貰おうとするノアさん。
って、待つのです! ノアさんは飲んじゃダメです!
慌てて止めるとノアさんから凄く不満そうな顔で見つめられます。
……うっ……でも、こんな体に悪いお薬を進んで飲むことはないのです。
その後、数度の戦闘を終え、どうにかダンジョンを脱出できました……。
これもお薬を飲んでから疲れが嘘のように消えたお陰ですね……。
……しかし、これだけ効果が高いと後々の反動が怖いです。
やはりノアさんには飲ませなくて正解だった気がします。
さて、それじゃあ、街に帰りましょう。
衛兵さんに大海蛇のことは伝えましたが、ギルドにも急いで報告しないと……。
はぁ……ゆっくり休めるのはまだ先ですねぇ……早くベッドで寝たいです。
今日の収支
銅貨:+20枚(ミアさんへの支払い後の報酬)
銀貨:+37枚(ミアさんへの支払い後の報酬)
-4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)
――――――――
残金:金貨3枚、銀貨81枚、銅貨11枚
猫銀銭190枚
*o_ _)oバタッ あぁ……やっとベッドで寝れます。
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