133日目:狂った錬金術師再び。
神聖歴六一〇二年・
うぅ……痛い……痛いです。体のあちこちが悲鳴を上げています。
ベッドから起き上がるどころか寝返りを打つのも苦痛です。
今日のお仕事は無理かもしれません……。
そうしているとノアさん達が部屋を訪ねてきました。
でも、私はピクリとも動けません……声を出すのさえ億劫です。
ノアさんはベッドの横に腰を下ろすと、私を心配そうに見つめてきます。
そんな彼女に私は視線を返すことしかできません……。
けれど、私のこの最悪な状況を見て笑顔の人物が一人。
ニコさんです! 目を輝かせ嬉々としてメモを取ってます。
ニコさん、貴女なにか知ってますね!? 説明! 説明を求めます!
と、言ったつもりなのに、出てくるのはうぅ~うぅ~という唸り声……。
って、なに嬉しそうにメモしてるんですか!? 怒りますよ!?
暫くするとメモを一旦書き終え満足そうにするニコさん。
その彼女の両肩をノアさんがガシッと掴みます。
原因は貴女? と微笑みながら問い掛けるノアさん……でも、目が笑ってません。
ギリギリと肩に食い込む指先に、ニコさんは涙目で頷きます。
それにノアさんは溜め息を吐きつつ、両手を肩から離しました。
解放されると、肩をさすり目に薄っすら涙を浮かべて説明を始めるニコさん。
話によると、原因は昨日のお薬でした。
……使用すると副作用で一日ほどまともに動けなくなるそうです。
って、待ってください……ニコさんはいつも普通に飲んでましたよね?
もしかして副作用を抑えるお薬があるんですか!?
やっと出るようになった声で尋ねると、首を小さく横に振るニコさん。
なんでも、普段は希釈して飲むので副作用はほぼないんだそうです……。
衝撃の事実に絶望していると、ニコさんは笑顔で再びメモを取り始めます。
原液を飲んだ際のデータは貴重なのでぜひ観察させてくださいって貴女……。
ノアさん……やっぱりこの子、狂った錬金術師なのです!
そう騒ぎたくても騒げずにいると、部屋のドアがゆっくり開きます。
そこに現れたのは今にも倒れそうな感じのミアさん。
体がキツイ原因を知ってるかにゃ~? と額に脂汗をにじませながら問う彼女。
その様子にニコさんが目を輝かせるのを私は見逃しませんでした。
凄いです! 種族によって副作用に差がある!? とニコさんわくわく顔です。
楽しげなニコさんに、やっぱりお前が原因かにゃー!? と怒るミアさん。
彼女が近付くと、フシャーッと威嚇までします。
けれど、そんなことはお構いなしにニコさんはメモを取り続けます。
……ニコさん……元気になったらお仕置です。……ミアさんはごめんなさい。
その後、体力の限界で倒れたミアさんはソファーに寝かされ、私と一緒にノアさんのお世話になることに……。
……あとでお礼を言わないといけませんね。
はぁ……今後はニコさんのお薬には極力頼らないようにしましょう。
……そんな後悔をしつつ私は目を閉じました。明日は動けるといいですね。
今日の収支
銀貨:-5枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床☆、食事☆)
――――――――
残金:金貨3枚、銀貨76枚、銅貨11枚
猫銀銭190枚
(_ _;)…パタリ 動けないのです……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます