118日目:討伐作戦会議。

 神聖歴六一〇二年・月見羊つきみひつじの月第九日・天気:晴


 今日は冒険者ギルドで大海魔クラ―ケン討伐の作戦会議に出席する予定です。

 このパーティの代表ということで私が呼ばれたんですが……上手やれますかね?

 不安を感じていると、頑張れ! 大丈夫だよ! って励ましてくれるノアさん。

 そうですね……私だってもう立派な冒険者なんです。やってやります!


 私が会議に出ている間、ノアさんは宿に残り各種装備品の点検を。

 ニコさんは錬金術師ギルドでお薬の調合をすることになっています。

 ……ノアさんもニコさんも頑張ってくださいね。

 

 ギルドに着くと、集まった冒険者は皆一様に険しい表情をしていました。

 それだけ今回の討伐任務が厳しいということでしょう。

 うぅ……ノアさん達がいないだけでこれほど心細いなんて……。

 早く始まりませんかね会議……き、緊張でお腹が痛くなってきました。


 キリキリと痛むお腹をさすっていると、トントンと肩を叩かれます。

 突然のことに驚きながら振り返ると、そこにはシユさんの姿が。

 あ……シユさんもパーティリーダーでしたもんね。

 はぁ……顔見知りがいて助かりました……これで少し心に余裕が持てます。

 私のほっとした様子に苦笑するシユさん。

 そんな硬くなるなよ、ナメークハンターって……そう言われても無理ですよ!


 それから暫く待っていると、ようやくエド船長が姿を現しました。

 いよいよ作戦会議が始まるんですね……しっかりメモを取らないと。

 

 まず議題なったのは、クラ―ケンの棲息予測海域について。

 そこは私たちが監視任務に向かった岬の近く。重要な海路と重なる場所です。

 そのため、やはり討伐は避けられないということでした。

 場合によっては監視を続け様子見する可能性もあったそうです。

 

 次はクラ―ケン討伐作戦の具体的な説明だったんですが……サッパリでした。

 船の速度や海流、潮の満ち引き、天候や風向とか言われてもなにがなにやら。

 助けを求めてシユさんを見ますが、肩を竦めて首を横に振られてしまいます。

 ……本当に大丈夫ですか、この作戦? ……少し不安になってきました。


 そんな私の気持ちをよそに会議はどんどん進行します。

 最後は各冒険者の役割分担の話になりました。

 所属するコミュニティの規模やパーティの人数などで仕事が振り分けられます。

 私たちのパーティは第一四遊撃部隊とかいうのを任されました。

 遊撃部隊……つまり邪魔をしない程度に適当に戦えと……不安が増しますね。

 そうそう、シユさん達も遊撃部隊のようでした。

 気楽に戦えてこのほうがいい、と笑うシユさん……それはそうでしょうけど。


 そうして沢山の不安要素を残したまま会議は終了……。

 帰ったらノアさん達になんて説明しましょう……考えただけで胃が痛くなります。

 でも、作戦開始は明日に迫ってるんです。しっかりしないと……。


 よし、今の自分にできることを精一杯頑張りましょう。

 討伐を成功させて、絶対無事に帰ってくるんです!!


 今日の収支

 銀貨:-5枚(研究室レンタル費)

    -32枚(宿泊費×3+ソシオ)(食事☆☆、寝床☆☆)

 ――――――――

 残金:銀貨77枚、銅貨93枚

    猫銀銭190


 (-人-;)  上手くいきますように……。

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