113日目:嵐が来ると大変みたいです。

 神聖歴六一〇二年・月見羊つきみひつじの月第四日・天気:晴


 今日はノアさんと二人だけで冒険者ギルドへ。

 ニコさんは錬金術師ギルドで消臭剤の調合中なので本日は別行動。

 あとで一度様子を見に行く予定にしていますけど……少し心配です。


 冒険者ギルドに着くと、中はちょっとした騒ぎになっていました。

 受付で話を訊くと、遠くの海上に嵐が発生していると、筋肉お兄さん。

 街へ来る可能性は低くても海運関係に影響が出るので忙しいそうです。

 

 嵐、嵐ですか……まだこの街に滞在するならその辺も考えないとですね。

 天候に影響を受ける魔物もかなり多いという話ですから。

 あ……昨日、ソシオが海馬に追われていたのは、もしやこれが原因でしょうか?

 嵐で気が立っていた彼らにたまたま鉢合わせたのかもしれません。

 

 騒ぎの理由も分かったので依頼を探しにクエストボードへ。

 けど、これといったお仕事がありませんね。

 レモラ討伐は引き続き募集されていますけど……嵐のことを思うと……。

 ソシオがまた海馬とかに襲われたら可哀想ですし暫くやめておきましょう。

 そうなると残っているのは……あ、はい?


 考え込んでいると、突然声を掛けられました。

 振り返るとそこにいたのは、とんがり帽子と黒いローブを着た蒼い髪の女性。

 って、シユさんです! ダンジョンから戻ってきたんですね!

 驚く私にシユさんは苦笑しながら、なにを悩んでいるのか尋ねてきます。

 シユさん、この街を拠点にしてそうですよね……少し相談してみましょう。


 話を終えると、何で海の依頼こだわっているのかと、逆に訊かれました。

 だって折角の海の街なのに普通の依頼とかもったいないじゃないですか。

 そう言うと、一瞬きょとんとし次の瞬間には大笑いするシユさん。

 いやーアンタやっぱり面白いわ、って私そんなに変なこと言いました!?

 あまりの態度に抗議すると、シユさんは軽い感じで謝ってきます。

 

 そして笑ったお詫びにと、ある依頼を教えてくれました。それは漁船の護衛依頼。

 漁へ向かう船に一緒に乗り魔物等から漁師さんを守るお仕事なんだとか。

 詳しく聞くと報酬は割といい感じです。ただ問題は朝が物凄く早いこと。

 場合によっては日が昇る前からのお仕事になることもあるそうです。

 ふむ、大変そうですが興味はありますね。情報に感謝です。


 シユさんと別れた後、その護衛依頼を探しましたが今日はありませんでした。

 ……残念です。あ、そろそろニコさんの様子を見に行かないと。

 まだ少し早いですけど、大丈夫でしょう。


 錬金術師ギルドへ行くと、ニコさんが受付で納品をしている最中でした。

 お疲れ様ですニコさん。うん? どうしてちょっと慌ててるんです?

 ニコさんの焦った様子に困惑しながら、彼女から消臭剤の売却金を受け取ります。


 ……なんでこんなに少ないんですか、ニコさん?

 さては貴女、なにか素材や機材を買い足しましたね!?


 っちょ!? こらっ! 待て! 待つのです! 逃げるなぁ~!



 今日の収支

 銀貨: -2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

    +10枚(消臭剤売却(個数不明))

 ――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨62枚、銅貨93枚

    猫銀銭190


 (ノ_-;)ハア…ニコさん……やられました。

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