112日目:海上の追跡者。

 神聖歴六一〇二年・月見羊つきみひつじの月第三日・天気:晴


 さて、今日は消臭剤の材料を取りにまた浜辺へ行く予定です。

 まだまだ沢山の消臭剤が必要らしいですからね。

 どうせ誰も作らないんです。今の内に稼ぎましょう!


 という訳でお弁当を持って例の砂浜に。

 むぅ、一昨日と変わらず汚いですね……どこからこんなにゴミが……。

 ……気にしても仕方がないので、素材採取を始めましょう。

 前回と同様に、貝殻、小石、流木、謎の骨なんかを手分けして集めます。

 あ、ソシオは海で遊んでいていいですよ。


 素材集めを始めて数時間後。

 お昼を少し過ぎた頃にようやく必要数を集め終わりました。

 あ……夢中になり過ぎてお弁当を食べてません……。

 ちょっと遅いですが昼食にしましょう。


 同じく素材の採取を終えた二人と浜辺でご飯です。

 ゴミの多い砂浜ですけど、端の方は割と綺麗なのでそこで休憩します。

 ふぅ……たまにはこんなのんびりしたお仕事もいいですねぇ。

 あれ? そういえばソシオが戻ってきませんね……大丈夫でしょうか?


 昼食を食べ終わり、帰る準備を始めても姿を現さないソシオ……。

 ハッ! もしかしてレモラの大群に襲われているんじゃ……。

 心配で不安に駆られていると、聞き覚えのある嘶きが!

 その方へ顔を向けると、だいぶ先の海上にソシオの姿を見つけました。

 あれ? でも様子が変です。なにかに追われているのか酷く焦ってます。


 ソシオの後方へ目を凝らすと……馬っぽい生き物が二頭ほど追って来ています。

 ケルピーじゃないですよね……本来ケルピーは川や湖に暮らしていますから。

 う~ん……あ、思い出しました! 海にいる馬の魔物!


 ――海馬、ヒッポカンプです!


 海馬は前半身を馬、後半身は魚という姿をした魔物です。

 他にもヒレのようなたてがみと、前足には蹄の代わりに水掻きを持っています。

 まさに海上を走る馬、それが海馬、ヒッポカンプなんです。

 

 でも、どうしましょう……このままじゃソシオは追いつかれてしまいます。

 ケルピーと海馬、似ていますがどうしたって後者の方が足は早いんです。

 なんとか助ける方法を考えないと……。


 悩んでいると、私に任せて、とノアさんが進み出てきます。

 その手にはいつの間に用意したのか長弓が握られていました。

 と、届くんですか!? この距離で!?

 驚いていると、これでも四分の一はエルフだよ? ってノアさん……凄いです。


 そうして弓を引くと一頭の海馬目指し飛んでいく矢。

 しかし、僅かに逸れます。でもそれで十分でした。

 突然飛来した矢に驚いた海馬が速度を落としたんです。

 その隙にソシオは浜辺へ。陸に上がればもう大丈夫です。


 海馬は暫くこちらを睨んでいましたが、その後大人しく去っていきました。

 何だったんでしょう。あ、私たちも急いで帰らないと。

 ニコさんはまた錬金術師ギルドで調合するんですよね?

 よろしくお願いします。


 今日の収支

 銅貨:-6枚(お弁当×3)

    -50枚(宿泊費:ソシオ)

 銀貨: -1枚(宿泊費×2)(寝床◎、食事◎)

    -5枚(研究室レンタル費)

 その他:各種素材

――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨54枚、銅貨93枚

     猫銀銭190枚


(・_・?) けど、なんでソシオは追われてたんでしょう?

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