107日目:くっついてます!

 神聖歴六一〇二年・七夜馬ななようまの月第二九日・天気:晴


 う~ん、やっぱり高級宿の朝はいいですね。夕食も美味しかったですし。

 でもそろそろ別の宿を探さないと……毎日銀貨四枚の出費は財布に大打撃です。

 このまま油断していると折角の金貨もすぐ使う事に……それは断固阻止しないと。


 そんな決意をして今日も冒険者ギルド船へ向かいます。

 ギルド着いたら、そのままクエストボードの前へ。

 外観は帆船でも、ギルドの機能は同じです。

 依頼を選んで受付へ持って行くのは変わりません。

 さて、どんなお仕事があるでしょうね?


 ざっと見た感じだと、海上での討伐系依頼が多いですね。

 あとは目立つのは荷物の護衛任務。

 交易が盛んな港街なので護衛を必要とする商会や商人が沢山いるんでしょうね。


 その中で私達が選んだのはレモラの討伐依頼!

 レモラは港近くの岩礁に群れて暮らす、青白い小魚の姿をした魔物です。

 特徴は頭に軟骨で出来た吸盤を持っている事。

 彼らはその吸盤で船底に張り付くと、船を動けなくしてしまうんです。

 たった一匹がくっつくだけでも、大型船が行動不能になる事があるんだとか。

 様々な船が行き交う港街にしてみれば、これ程厄介な魔物もいないでしょう。

 その為か一匹倒すだけでもかなり割りのいい稼ぎになります。

 狙わない手ないです。


 そういう訳で依頼書を持って早速受付へ。

 うっ……また筋肉お兄さんですか……何でこの人ばかり担当なんでしょう?

 にこやかで優しいし対応も丁寧なんですけど……ちょっと暑苦しいのです。

 けど、そんな気持ちを知らないお兄さんは、熱心に依頼の説明をしてくれます。


 筋肉お兄さんから助言を貰った後、私達は港から少し離れた磯を訪れました。

 なんでも最近ここ周辺でレモラの群れの目撃情報があるんだとか。

 討伐方法は、普通の釣りの要領で捕まえて、その後に倒すだけなので簡単です。

 という訳で磯釣り、じゃなかったレモラ討伐開始です!

 あ、釣り竿はギルドで筋肉お兄さんのお勧め品をレンタルしてきました。


 暑いですねぇ……二時間ほど待ってますけど全然釣れません。

 正確にはレモラが釣れません……普通の魚は結構獲れたんですけどね。

 退屈です……あぁ、波に乗って遊ぶソシオは楽しそうですねぇ。

 ……ケルピーも海は好きなんでしょうか?

 アレ? ソシオのお腹に何か張り付いているような……もしかして!

 ソシオ! ちょっとこっちに来るのです! 早く! 


 ソシオのお腹にくっついていたのは、やっぱりレモラでした! 

 しかもその数一〇匹! お手柄ですよ!

 褒めてあげるとソシオは自慢げに鼻を鳴らします。これで依頼完了です!


 ギルドに報告へ行くと、筋肉お兄さんに凄く驚かれました。

 初めてでこの数を討伐してくる人は滅多にいないと。

 流石ナメークハンターズですねって、最後の一言は余計なのです!


 さ、宿屋へ帰りましょう。新しい宿はまた明日探します。

 ソシオが沢山稼いでくれたので、まだお金は大丈夫です!



今日の収支

 銀貨:+30枚(レモラ討伐報酬×10)

     -4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)

――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨82枚、銅貨1枚

    猫銀銭190枚


\(^▽^)/ ソシオが大活躍です! 偉いです。

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