106日目:あの子の名前。
神聖歴六一〇二年・
ふふふっ、昨日の報酬でついに金貨が戻ってきました。
あぁ……この輝き、いつ見ても心奪われる美しさです。
嬉しくて、嬉しくて昨日はかなりの高級宿に泊まってしまいました。
でも、本当に綺麗ですねぇ……金貨。もっと、もっと集めないと!
金貨を見詰めながら独り呟いていると、重症だね……、というノアさんの声。
ハッとして振り返るとノアさんとニコさんが呆れた様子で立っていました。
い、いつ部屋に入ったんですか!? え? 返事があった? ぜ、絶対嘘です!
そうやって金貨の事をからかわれつつ朝食を終え、冒険者ギルドへ。
今日は色々やる事がありますからね、急がないと。
ギルドに着いたらまずは受付へ行きます。
う、またあの筋肉お兄さんです……まだ慣れてないから少し怖いんですよね。
そのお兄さんに、例の件で回収した商業ギルドカードを渡します。
……本当は昨日出すべきだったんですが、疲れていて忘れてました。
カードを回収した経緯を話し、遅れた事を謝ると、深い溜め息を吐くお兄さん。
そして、暫く待っていて下さいと言い残し、受付を離れてしまいます。
少しして戻ってくると、船長室でギルドマスターがお呼びです、とお兄さん。
……ですよねぇ。忘れていた私の自業自得ですが、最悪です。
とぼとぼと肩を落として歩いていると、ひそひそ話が聞こえてきます。
街へ来て早々に呼び出しとか前代未聞だ。どんな問題児パーティだ?
なんでもナメークハンターズと言うらしい。ははっ、何だその名は……等々。
あぁ、またこの名が広がっていくのです。
船長室に入ると、エド船長が葉巻を吸いながら待っていました。
その表情は非常に厳しいもので、一目で怒っている事が分かります。
でも、怖がっていても仕方がありません、しっかり事の経緯を説明しないと。
話しを聞き終えると、呆れたような溜め息を漏らすエド船長。
この件は以後ギルドが調査するので口外しないように、って分かってますよ。
じゃあ、もういいって罰則とかは? え? 無し? ありがとうございます!
受付へ戻ると、大丈夫でしたか? と筋肉お兄さん……意外と優しいですね。
あ、そういえばケルピーの登録書を出さないと……。
エド船長に呼ばれてすっかり忘れていました。
必要事項を書いて……名前はどうしましょう……?
う~ん、色々悩んだ末に「ソシオ」に決めました。
記入して提出すると……うっ、お金取るんですね、やっぱり……しかも割と高い。
少し待っていると、完了しましたよ、とカードを渡してくれる筋肉お兄さん。
蒼い金属製のカードには私の名前とパーティ名。
そして「ソシオ:種族ケルピー」と刻まれていました。
ふふっ。これで本当の仲間になったみたいです。
帰ったら早速見せてあげましょう。喜んでくれますかねぇ、ソシオ。
さて、今日はもう引き上げましょう。
変に目立ったのでお仕事し辛いですし。
明日から頑張ります!
今日の収支
銀貨:-15枚(使役魔物登録費)
-4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨56枚、銅貨1枚
猫銀銭190枚
(´▽`) 金貨、金貨を見て元気を出しましょう。
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