108日目:小さくなれるんでした!

 神聖歴六一〇二年・七夜馬ななようまの月第三〇日・天気:晴


 さて、今日は新しい宿屋を探す日です!

 この高級宿には劣るにしても、それなりの宿を見付けたいですね。

 とりあえず、毎日銀貨四枚以上の消費をどうにかしないと……頑張ります!

 

 朝から昼過ぎまで足を棒にして調べたんですが……なかなか無いものですね。

 いえ、値段的にいい感じの宿屋は何軒かあったんです。

 けれどソシオ、ケルピーを預かる事が出来ないと。

 使役していても魔物は魔物、何かあった時に責任が取れないからと……。

 

 まさかこんな問題が出てくるなんて。

 今の宿は快くソシオを引き受けてくれたので、大丈夫だと思ってたんですが……。

 考えが甘かったみたいです……大人しいケルピーなんですけどね、ソシオ。

 やっぱり設備が整った高級宿しか無理なんでしょうか……。


 そうやって悩んでいると、どうしたんですか? と声を掛けられます。

 振り向くとそこには、ケット・シーのブランさんが!

 わぁ~、二日振りですね! お仕事は大丈夫でしたか?

 訊くと、微笑みながら頷くブランさん。それは良かったです。

 あぁ、どうしたかでしたよね? 聞いて下さいよ、ブランさん!

 そうして、ブランさんに宿屋に断られ続けている話をします。


 話を聞き終わるとブランさんは不思議そうに小首を傾げました。

 え? 私、何か変な事言いましたか!?

 困惑していると、ブランさんは苦笑しながらアドバイスをしてくれます。

 ケルピーなら小さくして部屋へ連れていけばいいじゃないですか、と。

 ……それは盲点でした! そうですよ、ソシオは縮めるんです!

 なら箱か何かに入れてお部屋で面倒を見れます!


 喜ぶ私を見ながら、でも一応、宿には確認するべきですけどね、とブランさん。

 そ、それは勿論ですよ! こっそり連れ込むなんて、そんな事は……。

 私の慌てる様子にブランさんは小さく笑うと、じゃあ、自分はまだ今日の仕事が残っているからと、帰って行きました。

 ……よし、私達もソシオのお部屋を探しに行きましょう!


 その後、色々なお店を巡ってやっとソシオのお部屋を購入する事が出来ました。

 両手に抱える程の大きな箱ですけど、小さくなったソシオが休むには十分です。

 ただ高級家具に使用する木材で出来ているのでお値段が……。

 でも、ソシオが喜んでくれたので気にしない事にします!


 さて、それで今日の宿屋ですけど……ふふふっ。

 折角ソシオも一緒にお部屋へ行けるので大奮発してみました!

 超高級宿です! あ、勿論ソシオの件は宿の了解を取りましたよ。当然です!


 それにしても、ここの夕食は最高でした。

 今まで以上に新鮮な魚介類が沢山使われた料理はとても素晴らしかったです。

 まさかお肉以上にお魚を美味しいと思う日が来るとは……港街侮れません。


 さて、今日は早めに寝て高級ベッドを楽しみましょう。

 あ、ソシオもこっちで一緒に眠りましょう! ふかふかベッド楽しいですよ!

 ふふっ、最高の夜なのです。


 今日の収支

 銀貨:-10枚(ソシオのお部屋箱)

    -32枚(宿泊費×3+ソシオ)(食事☆☆、寝床☆☆)

――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨40枚、銅貨1枚

    猫銀銭190枚


 (・・;)……お、お金が。大丈夫、明日稼げば大丈夫!!

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