103日目:狙われる理由。

 神聖歴六一〇二年・七夜馬ななようまの月第二五日・天気:―


 凄く辛いです……実は昨日のオーク戦から今まで全く休息が取れていません。

 理由はあれからオークとの遭遇率が急激に上がったからです。

 ほら、こう言ってる間にもまた通路の陰からオークが一体……。

 

 はぁ……ノアさん、また魔術でけん制をお願いします。

 マヴロさんは私が囮になるので、隙を見て背後から奇襲を!

 ニコさんとブランさんは後方で待機……戦闘開始です!


 ……どうにか倒しましたが、やはりオークの相手は辛いですね。

 これで何体目でしょう? 小さく呟くと、一〇体目、と短く返答するノアさん。

 魔術を使い過ぎて大分お疲れのようですね……。


 さて、やはりこの遭遇率は異常です……何か原因がある筈なんですが……。

 考え込んでいると、マヴロさんが何かを嗅ぎ取り注意を促してきます。

 そして、再び現れる一体のオーク! あ……遭遇する理由が分かった気が!

 けど、先にこいつを処理しないと……ノアさん、マヴロさん、いきますよ!


 戦闘終了後、先程気が付いた事を皆に説明します。

 多分、オーク達は仲間の血の臭いを頼りに私達を襲ってきてるんです。

 マヴロさんのお陰で気が付く事が出来ました。

 確か、豚や猪の嗅覚はかなり鋭いと以前に本で読んだことがあります。

 それがそのまま亜人に当てはまるかは謎ですが、現状を見れば確定的でしょう。


 でも弱りました……今すぐ血の臭いを消す方法とかありませんよ。

 悩んでいると、再びマヴロさんから警告が!

 またオークって今度は数が多い! 六体以上いますよ!?

 この数は流石に無理です!

 撤退! 撤退して下さい! 通路を引き返すんです!

 

 それから闇雲に逃げ続けますが、事態は好転しません。

 寧ろ悪化しています……道は分かりませんし、敵は増える一方。

 あぁ、もうっ! コレも全部マヴロさんのせいです!

 って、愚痴っても仕方ないですね……今は生き残る事を考えないと。


 走り続けていると目の前に人影が。一瞬オークかと警戒しますが、違います。

 六人程の冒険者パーティ! こんな状況で出会うとか最悪です!!

 逃げて、逃げて下さい! その言葉と私達の姿から全てを察した様子の冒険者達。

 彼等も慌てて通路を引き返します……あ、でもこれはチャンスかもです!


 速度を上げ、冒険者パーティの最後尾へ。

 ギョッとした表情を向けたのは、殿を走っていた蒼い髪の女性。

 黒いローブにとんがり帽子……魔術師さんでしょうか?

 

 警戒する彼女に、私達の状況を急いで伝えます。

 そして、出来ればこのまま地上まで走ってくれないかと。

 仮に今逃げ切っても道が分からない事は変わりません。

 そうすれば、また同じ事の繰り返しです。


 すると魔術師さんは少し考え込んだ後、先頭へ大声で指示を出します。

 このまま地上へ向かえと……ありがとうございます!

 しかし、お礼を言うと睨みつけられました。

 そして、無事戻ったら覚悟しな、と呟く魔術師さん。

 ヒッ……すみません、ごめんなさい。

 

 でも、これでどうにか地上へは出られそうです。


 今日の収支

 オーク×1

 ――――――――

 残金:銀貨4枚、銅貨1枚

    猫銀銭90枚

 (未換金素材:オーク×9)


"(/へ\*)")) 怖い! 物凄く怖いのです、色々。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る