103日目:狙われる理由。
神聖歴六一〇二年・
凄く辛いです……実は昨日のオーク戦から今まで全く休息が取れていません。
理由はあれからオークとの遭遇率が急激に上がったからです。
ほら、こう言ってる間にもまた通路の陰からオークが一体……。
はぁ……ノアさん、また魔術でけん制をお願いします。
マヴロさんは私が囮になるので、隙を見て背後から奇襲を!
ニコさんとブランさんは後方で待機……戦闘開始です!
……どうにか倒しましたが、やはりオークの相手は辛いですね。
これで何体目でしょう? 小さく呟くと、一〇体目、と短く返答するノアさん。
魔術を使い過ぎて大分お疲れのようですね……。
さて、やはりこの遭遇率は異常です……何か原因がある筈なんですが……。
考え込んでいると、マヴロさんが何かを嗅ぎ取り注意を促してきます。
そして、再び現れる一体のオーク! あ……遭遇する理由が分かった気が!
けど、先にこいつを処理しないと……ノアさん、マヴロさん、いきますよ!
戦闘終了後、先程気が付いた事を皆に説明します。
多分、オーク達は仲間の血の臭いを頼りに私達を襲ってきてるんです。
マヴロさんのお陰で気が付く事が出来ました。
確か、豚や猪の嗅覚はかなり鋭いと以前に本で読んだことがあります。
それがそのまま亜人に当てはまるかは謎ですが、現状を見れば確定的でしょう。
でも弱りました……今すぐ血の臭いを消す方法とかありませんよ。
悩んでいると、再びマヴロさんから警告が!
またオークって今度は数が多い! 六体以上いますよ!?
この数は流石に無理です!
撤退! 撤退して下さい! 通路を引き返すんです!
それから闇雲に逃げ続けますが、事態は好転しません。
寧ろ悪化しています……道は分かりませんし、敵は増える一方。
あぁ、もうっ! コレも全部マヴロさんのせいです!
って、愚痴っても仕方ないですね……今は生き残る事を考えないと。
走り続けていると目の前に人影が。一瞬オークかと警戒しますが、違います。
六人程の冒険者パーティ! こんな状況で出会うとか最悪です!!
逃げて、逃げて下さい! その言葉と私達の姿から全てを察した様子の冒険者達。
彼等も慌てて通路を引き返します……あ、でもこれはチャンスかもです!
速度を上げ、冒険者パーティの最後尾へ。
ギョッとした表情を向けたのは、殿を走っていた蒼い髪の女性。
黒いローブにとんがり帽子……魔術師さんでしょうか?
警戒する彼女に、私達の状況を急いで伝えます。
そして、出来ればこのまま地上まで走ってくれないかと。
仮に今逃げ切っても道が分からない事は変わりません。
そうすれば、また同じ事の繰り返しです。
すると魔術師さんは少し考え込んだ後、先頭へ大声で指示を出します。
このまま地上へ向かえと……ありがとうございます!
しかし、お礼を言うと睨みつけられました。
そして、無事戻ったら覚悟しな、と呟く魔術師さん。
ヒッ……すみません、ごめんなさい。
でも、これでどうにか地上へは出られそうです。
今日の収支
オーク×1
――――――――
残金:銀貨4枚、銅貨1枚
猫銀銭90枚
(未換金素材:オーク×9)
"(/へ\*)")) 怖い! 物凄く怖いのです、色々。
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