102日目:正解はどの通路?
神聖歴六一〇二年・
どうにか無事ダンジョンへ進入し、今日はブランさんの地図を頼りに探索を行っています。微妙に構造が変わっているので慎重に進まないといけません。
今回のダンジョンは洞窟のような造りをしています。
壁や地面はゴツゴツとした岩肌です。
暗闇だと歩き難いですが、このダンジョン内には明りがあったので助かりました。
どうやら壁や地面の岩に、光を放つ鉱石を含んでるみたいです。
本当、色々珍しいタイプのダンジョンですね、ここ。
さて、明かりもあるので楽に進めると喜んでいたんですが……。
ある分かれ道で問題が発生しました……地図に記された道は三本。
しかし実際にある通路は八本……五本も多いです!
……地図を読み間違えた?
そう思い慌てて確認してみますが、八本に分岐した道は何処にもありません。
つまりこの地図が発行された後に、新しく出来た道という事ですか。
やっぱり古い地図を頼りにダンジョンへ進入するは駄目ですね。
廃鉱の時に上手くいったので今回も大丈夫と思ってましたが……反省です。
どうするか悩んでいると、独り先へ歩き始めるマヴロさん。
ちょっ!? 待って下さい!
驚いていると、彼はその鼻を得意げに鳴らします。
まさか……臭いで経路が分かるんですか!?
訊くと、ニヤリと笑うマヴロさん……ほ、本当なんでしょうか?
と、とりあえずマヴロさんの後を追いかけ、中央の通路を進みます。
暫く先程と同じような通路を歩いていると、突然足を止めるマヴロさん。
ノアさんやブランさんも何かに気が付いたようです……嫌な予感がしますね。
腰の小剣に手を掛け、いつでも抜ける準備を。
ケルピーはニコさんに預け一緒に後方で待機してもらいます。
暫くして通路の陰から現れたのは、猪の頭を持った一人の亜人。
――オーク!!
第一階層からこんなのが出るんですか、このダンジョン!?
驚く暇もなく、私達に気が付くと一目散に駆け出してくるオーク。
その手には巨大な戦斧!
近付き、鋭く振り下してくるそれを、紙一重で躱します。
戦斧を握った右手を斬ろうとすると、それを左手でけん制するオーク。
その隙に、がら空きになった腹部を狙うのは、ノアさんの攻撃魔術!
オークの腹を貫くのは巨大な氷の槍!
けれどオークは倒れず、雄叫びを上げながら再び戦斧を持ち上げます。
しかしその瞬間、後ろから忍び寄る影が!
マヴロさんです! 気付いた時には、飛び掛かりその牙を頸部へ突き立てます。
苦悶の唸り声を上げながら、ゆっくり地に倒れ伏すオーク。
その後、完全に息の根が止まったのを確認してやっと口を離すマヴロさん。
凄いですね。これが妖精を護るクー・シーの実力ですか。
その勇猛さに驚いていると、これで今日は良い肉が食える、と嬉しそうなマヴロさんの独り言を耳が拾いました。
……まさか、肉食べたさにこの道を選んだ訳じゃないですよね?
問うと、澄ました顔で素知らぬ風のマヴロさん……こ、このお方は!!
もうっ! 一刻も早く脱出するのです!!
今日の収支
オークの各種素材。
――――――――
残金:銀貨4枚、銅貨1枚
猫銀銭90枚
(ノ_-;)ハア…マヴロさん……信じてたのに。
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