100日目:難をもって難を逃れる。
神聖歴六一〇二年・
盗賊の恐怖に怯えながらも、如何にか無事一夜を明かしました。
心配し過ぎのような気もしますが、用心に越した事はありません。
皆で朝食を摂りつつ、地図を広げて今日のルートを検討します。
正直、このまま街道沿いに進むのは若干躊躇われました。
狙ってくれと言っている様なものですからね。
しかし、下手に道を外れるのも危険です。
盗賊が何処に潜んでいるかも分からないんですから。
加えて相手に冒険者がいた場合、抜け道に罠を仕掛けている可能性もあります。
安全な道……中々難しいですね。
悩んでいると、ブランさんが地図上にマル印を付けて行きます。
今までにすれ違った商人仲間達が教えてくれた盗賊の襲撃地点だとか。
襲われた日付や時間までありますね……これなら少し予測も立てられます。
ブランさんの情報が正しければ、大体五日の周期で盗賊は現れている様です。
昨日の馬車は襲われてから既に数日経過していました……。
つまり、新しい獲物を盗賊達は近日中に狙う筈です。
移動の法則性は無し。襲っては次に移動する事を繰り返しているみたいです。
コレだと拠点があるかどうかが分かりませんね……。
根城を中心に活動している単純な盗賊なら良かったんですけど……。
恐らく奪った荷物を運ぶ別動隊がいるんでしょう。
そう考えると、かなり大規模な盗賊団なのかもしれません……。
う~ん、本当に出会いたくないですよ、この盗賊達……どうしましょう。
考え込んでいると珍しくマヴロさんが発言し、地図のある地点を指します。
それは街道から外れた森の中を少し進んだ岩場。
彼が言うには、ここにダンジョンの入口があるそうです。
ダンジョンですか!? 驚いていると何かを思い出した様子のブランさん。
話を聞くと、ここには少し特殊なダンジョンの入口があるんだそうです。
なんでもこのダンジョンには入口が複数存在しているんだとか。
そして、その一つがマーガの街郊外に通じていると……。
……つまり、このダンジョンを進めば盗賊に出会わずに街へ行けるわけですか。
……対人戦を行うよりは、魔物相手の方が気持ち的には楽ですけど。
盗賊に出会わない可能性に賭けてこのまま進むか……。
多少危険を冒してもダンジョンへ進入するか……。
迷っているとブランさんが一枚の地図を取り出しました。
これは……ダンジョンマップですか?
少し古いけどまだ使える筈です、とブランさん。
詳しく見てみると、意外と単純な構造のダンジョンです。
棲息する魔物は亜人や獣系統……。
経路を確認すると、どの入口も第一階層を進むだけで到達できます……。
よし! 決めました。このダンジョンを突っ切りましょう!
地図も道具もありますし、どうにか行ける筈です!
ブランさん達の荷物はノアさんに収納してもらえば問題ありませんしね。
そうと決まれば早速出発です!
出来れば今日中に入口へ辿り着きましょう!
――こうして盗賊回避の為のダンジョン探索が始まるのでした。
今日の収支
特になし。
――――――――
残金:銀貨4枚、銅貨1枚
猫銀銭90枚
(-人-;)……何事もなくダンジョンを突破できますように
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます