98日目:追いついちゃった!?
神聖歴六一〇二年・
早朝からケルピーに乗り走り続けていると、前方に見覚えのある小さな荷車が。
まだ距離はありますけど、大きな黒い犬が引いているので間違いありません。
近付いてみると、やっぱりケット・シーのブランさんです!
まさか追いついてしまうとは思いませんでしたね!
ケルピーの上から挨拶するとブランさんもとても驚いた様子でした。
そして、時間もお昼時だったので、一緒に昼食をという話に。
少し進んだ先の街道横にあった大樹の木陰で、皆仲良くお昼ご飯です。
今日のお弁当はパンケーキと果物、それからスープ。
その豪華さに目を丸めるブランさん。
沢山あったのでお裾分けするととても喜んでくれました。
すると横にいたブランさんの犬が、俺も食べたいねぇ~と話し掛けてきます。
!? 喋った!? 犬が!? え? 何で!?
ビックリしてパンケーキを思わず手から落としてしまいした。
それを口で拾うと、モグモグと食べ始める喋る犬。
え? えぇ!? 混乱しているとブランさんが苦笑しながら犬を嗜めます。
しかし、犬は不満そうに鼻を鳴らして素知らぬ顔です。
やれやれといった様子で溜め息を吐き、ブランさんが説明してくれます。
この犬、なんとクー・シーだったんです! 名前はマヴロさん。
クー・シーは妖精達を護りながら暮らす妖精犬といわれる存在です。
ですが、妖精たちがその姿を人前に晒さない様に、彼等も殆ど姿を現しません。
そんな存在が目の前にいて、あまつさえ荷車を引いているとは思いませんよ……。
マヴロさんの正体に呆然としていると、彼は変わり者ですから、とブランさん。
視線の先では寝そべったマヴロさんが退屈そうに大きな欠伸をしていました。
そうして色々話をしていると、ブランさんからケルピーについて尋ねられます。
経緯を話すと、大変優秀な冒険者なのですね、と甚く関心されました。
そして出来る事ならこの先道中をご一緒しませんかと。
なんでも最近ここ周辺に盗賊が出没しているらしく護衛が欲しいんだとか。
う~ん、報酬も払ってくれるそうなので引き受けましょうかね。
了解すると凄く喜んでくれました。まぁ、きっと大丈夫です。
その後、再出発し時刻は夕方。今日は街道沿いの森の傍で一泊します。
色々準備をしていると、ふらりと森の方へ消えていくニコさんとマヴロさん。
ニコさんがサボったので独りでテント張りをしていると、ケルピーが手伝いに!!
賢い子です! ここ数日の作業を見て憶えたんですね……助かります。
ノアさんとブランさんは夕食の準備です。
ブランさんも料理が得意らしいので楽しみですね!
晩御飯が出来た頃、ニコさん達も帰ってきました。
ってマヴロさん!! その口に咥えた鳥! シームじゃないですか!
滅多に獲れない高級食材ですよ!? 驚いていると、昼間の礼だ、とマヴロさん。
あ、ありがとうございます……無口なだけで良い人(?)なのかもですね……。
うん、なんだか上手くやっていけそうです。
明日からの護衛、しっかり頑張りましょう!!
今日の収支
特になし。
――――――――
残金:銀貨4枚、銅貨1枚
猫銀銭90枚
O(≧∇≦)O シームのお肉楽しみです!!
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