97日目:やっぱり馬と違うのです。
神聖歴六一〇二年・
昨日はケルピーを捕まえた淵の近くで野宿をしました。
朝食を終えたら早速、移動準備に取り掛かります。
さて、ケルピーには鞍を取り付けないと。
長時間乗るので馬具はとても重要です。
あ、鞍や捕獲時に使用した
聞けば随分昔に異空間へ仕舞った物らしいです……本当何でも入れてますね。
いつか中の物を全て見てみたいです。
そんな事を考えながら鞍を装着しようとして、手が止まります。
あれ? 何で鞍が三具もあるんでしょう?
どう見てもこの数を乗せる程ケルピーは大きくありません。
……見た目は唯の馬ですからね、当然です。
まぁ、それを言ったら普通は馬に三人乗りとかしないわけですけど……。
悩んでいるとノアさんが驚くべき事実を教えてくれます。
なんでもケルピーは乗せる人の人数に合わせて背中が伸びるそうです。
過去には子供を大勢乗せて、水に引き摺り込んだケルピーもいたとか。
だから三人乗りとか余裕だよってなんですかその不思議能力!?
……というか子供云々の話は聞きたくなかったです!
だってそんな話をされると使役していても怖いじゃないですか!
少し顔を青褪めさせていると、クスクスと笑うノアさん。
どんなに懐いても水魔という事を忘れないでねって分かってますよ。
馬に似るからって油断なんて……。
そんな事を思っていると、私の顔を覗き込んでくるケルピー。
向けられる黒くて丸い大きな目……あぁ、可愛いです。
……はっ! 駄目、駄目です! ケルピーは馬じゃないのです!
そう自分に言い聞かせ、慎重に鞍をはめる作業を続けます。
一具はめて、次を……本当です微妙に背中が伸びてる!
全て装着し終えると、異常に胴長なケルピーに!
ここまで長いと少し不気味ですね……可愛くありません。
もっとこう、胴長の小動物的な愛らしさを期待していたのに……残念です。
……準備も整ったのでそろそろ出発しますか。
手綱はノアさんが握り、ニコさん、私の順番でケルピーに乗ります。
ノアさんが手綱を引くとゆっくり動き始めるケルピー。
森の中は歩く程度で進み、街道に出たら一気に走らせます。
うわぁー速い! 馬車の何倍も速いです!
そのまま休む事なく走り続け、日が傾く前に野営地へ到着。
驚きです……ここは数日後に着く予定だった場所ですよ……。
ケルピー恐ろしい程の健脚です。
野宿の準備を終え、夕食を頂きます。
そうだ、ケルピーは何食べるんでしょう?
ノアさんに訊くとその辺の草でいいという返事が。
食事をさせる為、
理由は全ての馬具を外すと逃げてしまうからと……なるほどです。
でも鞍を三具も付けたままは可哀想なので、一具だけ残して他は外してあげます。
外し終えると嬉しそうに目を細めるケルピー。
う~ん、こうしてみると可愛い普通の馬なのに……。
今晩は早めに寝て明日に備えましょう。
この調子なら予定より随分早くマーガの街へ到着できる筈です。
今日の収支
特になし。
――――――――
残金:銀貨4枚、銅貨1枚
猫銀銭90枚
(*'-'*)エヘヘ 今から海で遊ぶのが楽しみです!
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