95日目:水浴びの闖入者……。

 神聖歴六一〇二年・七夜馬ななようまの月第一七日・天気:晴


 ルーファの街を出て三日目、ですけどまだまだ先は長いです。

 馬車でも一〇日は掛かる距離なので、徒歩だと更に日数が……。

 ……それにしても今日も暑いですね……汗が滝の様に流れます。

 でもニコさん、お薬は必要ありません。仕舞っておいて下さい。


 お昼頃、木陰で休憩しながら地図を広げます。

 昼食は朝にノアさんが用意したお弁当。パンに野菜やお肉が挟んであります。

 ふむ、これなら私も作れるかもしれません。

 今度ノアさんに教えてもらいましょう。


 食事をしつつ地図で探しているのは湖か川です。

 ここ数日、濡らした布で体を拭くだけだったので、水浴びがしたいのです。

 地図を眺めていると、ここからちょっと離れた所に川を見つけました。

 ……とりあえずここへ行ってみますか。


 暫く進むと目的の川に着きました。

 水は澄んでいるし、流れも緩やかでとてもいい感じです。

 上流には森もあるので、そちらへ行けば街道からも姿を隠せますね。

 という訳で、一旦街道から外れ森の中へ。

 

 少し歩くと、丁度水浴びに良さそうな場所を発見します。

 街道からも死角になっていますしバッチリですね。

 ではでは、早速水浴びをしましょう!

 何かあるといけないので一人ずつ交代で入ります。

 

 順番は私、ノアさん、ニコさんという事になりました。

 じゃあ、お先に失礼します。

 装備を外して、服を脱いで~ルンルンルン♪

 あ……心配なので短剣位は持っておきましょう。

 短剣を左肩にベルトで止め、いざ川の中へ――!! 冷たいです!!

 予想外の冷たさにちょっとビックリしました。

 でも、慣れてくると気持ち良いですね。

 汗でべた付いた肌や髪がサッパリしていきます。


 そうやって水浴びを満喫していると、近くで物音が!!

 音の方へ目を向ければ、川の対岸に此方を見詰める蒼白い馬が一頭。

 とても綺麗な馬ですが、普通の馬じゃないですね……。

 ただの馬なら尻尾はあんな魚みたいな形はしていません。


 ……アレはきっとケルピーです。

 

 ケルピーは馬に良く似た水の精です。けれど似ているのは見た目だけ。

 その性格は凶暴で人さえ食べる恐ろしい水魔です。

 なので視線を外さず警戒しながら岸へ上がります。

 布を手に取り身体を隠すと、異変に気付いたノアさん達が来てくれました。


 その間も此方を見続けていたケルピーですが、数の不利を悟ったか踵を返します。

 背を向けて駆けて行く先は川の上流。

 ……良かった……戦闘になるかとひやひやしました……だって私、裸ですよ!?


 その後、全員が水浴びを終えると、ノアさんから意外な提案が。

 それはさっきのケルピーを追って上流へ向かおうというものでした

 なんでもケルピーは上手くすれば普通の馬の様に従える事が出来るそうです。

 しかもどんな駿馬にも勝るとも劣らない働きをみせるとか。

 なるほど、徒歩ではやはりキツイと思っていたところです……やりますか!


 ニコさん、何を驚いてるんです? 冒険者ってこういうものですよ!!


 ――こうしてケルピー捕獲作戦が始まるのでした。


 今日の収支

 特になし。

 ――――――――

 残金:銀貨4枚、銅貨1枚

    猫銀銭90枚


 (゙ `-´)/ 覗いた分、捕まえて確り働かせるのです!!

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