93日目:マーガの街を目指して!

 神聖歴六一〇二年・七夜馬ななようまの月第一五日・天気:晴


 さぁ、今日からいよいよマーガの街へ向けて出発です。

 忘れ物がないか確り荷物を確認しないと……あ、地図がありません。

 街を出る途中で買いましょう。街道沿いに進むだけですがないと不便です。


 朝食を終えたら宿を出て、市場で最後の買い物をしつつ街の南門へ。

 門の周辺では沢山の荷馬車が行き交っています。

 ……ニコさんふらふらしてると邪魔になりますよ。

 あぁ、でもいいですねぇ馬車……私も出来れば乗りたいです。

 お金があれば借りたのに……愚痴っても仕方ないので頑張って歩きましょう!

 冒険者は足で稼ぐ! それが基本なのです!


 とか張り切りましたが……この炎天下で歩くのはやっぱり辛いですね。

 汗を拭っていると、ニコさんが腰ポシェットを漁り始めます。

 取り出したのは何時ぞやの銀色に光る液体の入った小瓶。

 そして、それを一気に飲み干すニコさん。

 ちょっ!? ただの暑さ対策で普通飲みますか!? 貴重なお薬ですよ!?


 唖然としていると、ニコさんはきょとんとしながら小瓶を渡してきます。

 思わず受け取りましたけど、これを飲んだら彼女と同類な気が……。

 って、ノアさん!! なに躊躇なく飲んでるんですか!?

 暑さに耐えかねて? じゃないのです!!

 もうっ! こうなったら、こうなったら……私も飲みますからね!!


 ……飲んだ結果……暑さが消えて凄く歩きやすくなりました。

 うぅ……でも、こんな事を続けていたらニコさんを注意できなくなるのです。

 あ、気付けばニコさんがまた何か別のお薬を飲んでます。

 ……彼女を真人間に戻す道は長く険しそうです。


 そんな感じで歩き続け、日が傾く前に野営予定地へ到着しました。

 場所は街道沿いの森の傍。近くには小川も流れています。

 暑さでバテなかったので予想以上に着くのが早かったです。

 時間に余裕はありますけど、早速野宿の準備を始めましょう。


 私はテント張り、ノアさんが料理、ニコさんは近くの散策です。

 珍しい薬草がないか探してきますってニコさん……自由ですねぇ。

 出来ればテント張りを手伝って欲しかったんですけど……。

 大型のテントに代えたので一人だと少し大変なんです……次から確り頼まないと。


 ニコさんが戻ってきたのは丁度夕食が出来上がった頃でした。

 両手には抱えきれない程の薬草や木の実、茸等々……。

 この短時間でよくそれだけの種類を掻き集めてきましたね……少し感心します。

 

 あ、今晩のメニューは干し肉のスープに野菜サラダ、パン、川魚の塩焼きです。

 川魚はテントを張り終えた後、小川で調達してきました。

 でも、野外料理とは思えない程豪華な食事ですねぇ、流石ノアさんです!!


 食後、今晩最初の見張り役は私とニコさんが担当する事に。

 焚火を眺める私の横で、ゴリゴリと夢中で薬草をすり潰すニコさん。

 うん、見張りの事すっかり忘れてますよね、貴女?

 ……やっぱり二人一組にして正解でした。

 

 はぁ……このまま何事もなくマーガの街に着けますかねぇ……。


 今日の収支

 銀貨:-1枚(地図代)

 ――――――――

 残金:銀貨4枚、銅貨1枚

 猫銀銭30枚


(ノ_-;)ハア…ニコさん、頑張ってるんですけどねぇ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る