91日目:共同生活です!!
神聖歴六一〇二年・
今日は大雨なので冒険者ギルドの酒場がとても賑やかです。
まぁ、いつもの事ですね! あれ? そんな酒場の隅にニコさんの姿が。
しかし活気に溢れる酒場とは対照的に暗い雰囲気で俯いています。
心配になり声を掛けると、私達に気が付きパーっと表情を明るくするニコさん。
そして、お仕事! お仕事行きますよね!? と慌てた様子で駆け寄ってきます。
……えっと、何でしょうこの必死な様子は……嫌な予感がします。
とりあえず落ち着かせて、お茶を飲みながら話を聞くと案の定でした。
なんと昨日渡した銀貨二〇枚をもう使い果たしたそうです……。
理由は前回同様、お薬の原料や道具を購入したと……頭痛くなってきました。
お陰で素晴らしい薬が完成したんです! ってそういう問題じゃありません!
つい声を上げると、しゅんとして俯くニコさん。
……いけません……冷静になりましょう。
他にも何か理由があるのかもしれませんしね。
そう思って尋ねてみると、新素材を見たらつい何が出来るか気になってって……。
うん……この人ただのダメな子です。
ノアさんと二人呆れて溜め息を吐くと、見捨てないで! と涙目のニコさん。
なんでも前回も前々回もこれが理由でパーティを解消されたらしいです。
原因は分かっているのに自分では如何しても我慢できないそうです。
お願いします、助けて下さいって……そう言われても。
悩んでいるとノアさんが何か閃いたらしく耳打ちしてきます。
……仕方ありません。少々強引ですがそれでいきましょう!
という訳で、ニコさんの自宅兼研究室へやってきました。
街外れの小さな木造のお家です……いえ、素直にいましょう、あばら家です。
錬金術師ギルドからの格安で借りているんだとか。
家の中は……予想はしてましたけど凄いですね。
何がゴミでどれが必要な物なんだか……これを掃除するんですかノアさん?
顔を引き攣らせて訊くと、ニッコリ笑うノアさん……が、頑張りましょう。
片付けは夕方頃にようやく終わりました……疲れました。
あんなに物があったのに、本当に必要なのはテーブルに乗ってる分だけとか……。
この家、こんなに広かったんですね! ってニコさん……。
さて、ですが仕上げが残っています。
ニコさんが余所見をしている隙にテーブルに近寄るノアさん。
そして、次々に道具を異空間へ収納していきます。
彼女が気付いた時には何も残っていません……。
それを見て愕然とするニコさんに宣言します。
貴女はこれから私達と一緒に生活してもらいます!
今後一切、無駄遣いとかは禁止なのです!!
その言葉に思わずといった様子で詰め寄ってくるニコさん。
しかし、自分を変えたいんですよね? と問うと力なく頷いてくれました。
一緒に頑張りましょうね! 真面目な生活を送るんです!!
こうして妙な事からニコさんとの共同生活がスタートするのでした。
はぁ……お金の管理が更に面倒になりますねぇ。
今日の収支
銅貨:-10枚(お茶代等×3)
-42枚(宿泊料×3)(寝床〇、食事〇)
――――――――
残金:銀貨51枚、銅貨73枚
猫銀銭30枚
(;-_-) =3 フゥ これから色々大変そうです……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます