85日目:ニコさんの腰ポシェット。
神聖歴六一〇二年・
暑いです……眠いです……キツイです。
何度ダンジョンに進入してもこればかりは慣れませんね……。
早く帰ってゆっくりしたいです。
現在、ヘーロ地下水路ダンジョン第二階層でスライムを探しています。
前回は割とすぐ出会えたんですけど……何処に隠れているのやら。
はぁ、でも本当暑い……少し休憩しましょう。
ノアさんも汗だくで辛そうです……大丈夫ですか? お水飲みますか?
ニコさんは……あれ? 全然、暑そうにしてません。
え? 汗を掻いてるのに何でそんな涼しげな表情なんですか?
不思議に思っていると腰ポシェットから小瓶を取り出すニコさん。
その中には銀色に光る液体が……何ですか、それ?
話を聞くと、暑さを感じなくする薬なんだとか。
飲めばたちまち冷え冷えです、と自慢げに小さな胸を張るニコさん。
そうして小瓶を一本ずつ渡してきます。
どうしましょう……安全な薬なんでしょうか? 副作用とかは?
不安になり思わずノアさんと顔を見合わせてしまいます。
……悩んだ末、私が先に飲んでみる事に。
小瓶に恐る恐る口をつける私をノアさんが固唾を呑んで見守ります。
……何かあったら骨は拾って下さいね!
そう目で合図してから一気に飲み干し――うわっ、ニッガイ!!
あまりの苦さに吐き出しそうになりますが、我慢して飲み込みます。
……飲み終えると、スーッと身体から熱が引いていくのが分かりました。
凄いですね……この薬。
湿った服は相変わらず気持ち悪いですけど……暑さが消えると少し爽快です。
薬の効果に驚いていると、水分補給は確りしてね、とニコさん。
暑さは感じませんが汗は流れているのでそこは注意してほしいそうです。
私が説明を聞くその横で、涙目になりながら薬を飲むノアさん。
凄く苦いですよねぇ……何が素材なんでしょう?
さて、暑さから解放されたところでスライム探しを再開です。
暫く第二階層を歩き続けますが……やっぱり出てきませんね。
前回はウンザリする程襲われたのに……何故ですか!!
行きたくありませんが第三階層まで下りるしかないんでしょうか……。
そんな事を考えていると、これ使えませんか? と話し掛けてくるニコさん。
腰ポシェットから取り出したのは土色の塊……なんか泥団子っぽいです。
……色々出てきますね、その腰ポシェット……他は何が入ってるのか。
あ、泥団子はニコさんの説明によると魔物の誘因物質らしいです。
火を付けて放置しておけば近くの魔物が寄ってくるんだとか。
……そんなのもあるんですね。でも今回は却下です。
こんな閉鎖空間で魔物を一カ所に集めたら、恐ろしい事に!!
モンスターハウスを作って自滅とか笑えない冗談です。
そう言うと、道具が使えない事に少しがっかりした様子のニコさん。
……そんなに落胆しなくても使う機会はいつかありますよ、多分。
励ますと小さく頷いてくれます。
……では気は進みませんが第三階層を目指しましょうか。
……あぁ、行きたくない。
今日の収支
特になし
――――――――
残金:銀貨31枚、銅貨63枚
猫銀銭30枚
(゚-゚;)ウーン ノアさんの空間魔術並みに謎ですねニコさんの腰ポシェット。
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