83日目:応募してきた人。
神聖歴六一〇二年・
今日はとても暑いです! 溶けてしまうのです! ……あぁ、太陽が憎い。
この炎天下でも黒いメイド服ってノアさん……大丈夫ですか?
袖を無くしたり、スカートを短くしたりと布面積は減ってますけど……。
そんな事を気にしながら冒険者ギルドへ。
ギルドでは建物の外で、受付のお姉さん達が窓に妙な板を取り付けていました。
無数の穴が縦と横に規則正しく開いた板です。
その外側の穴の一つ一つに大きめの漏斗の様な物が嵌め込まれています。
何ですかね……これ? 初めて見ました。
汗だくのお姉さんに訊いてみると意外な答えが!
なんとこれで部屋の中が涼しくなるんだそうです……本当ですか?
疑いつつギルドに入ると……不思議です凄くひんやりしてます!!
作業を終えて戻ってきたお姉さんが得意気に説明してくれます。
あの板は最近、錬金術師ギルドが考案したマナを用いない冷房装置なんだとか。
作りも簡単且つ安価なので田舎を中心に普及しつつあるらしいです。
あぁ、氷雪系魔術を応用した冷房用魔道具って恐ろしい程高いですからね……。
その後、涼みながら依頼を選んでいるとお姉さんに呼ばれます。
受付に行くとお姉さんと一緒に一人の女の子が佇んでいました。
女の子は不安そうにじーっと私達を見詰めてきます。
えっと……誰でしょう?
疑問に思っていると、仲間募集の応募者ですよ、とお姉さん。
意外に早かったですね! じゃあ、少しお話しましょう!
酒場に移動しお茶を飲みつつ自己紹介をしてもらいます。
彼女の名前はニコ・フラメルさん。
職業は錬金術師で冒険者ランクはD。歳は多分、私と同じ。
ボサボサの銀髪に丸眼鏡、この暑いのに長袖の白衣を着込んだその姿は、確かに部屋に引き籠って研究をする錬金術師っぽいです。
あと小柄な体形でおどおどする仕草が小動物のようで可愛く見えますね。
でもどうしましょうか……募集は回復が出来る神官や巫女だったんですが。
悩んでいるとニコさんが青い液体の入った小瓶を差し出してきます。
彼女が作った回復薬だそうです。他にも解毒薬等色々作れるらしいです……。
う~ん、回復薬……即効性は魔術に劣りますけど……。
ニコさんを席に残し、ノアさんと二人隅で話し合います。
ノアさんは割と好意的です。神官等を待ち続けるより現実的だと。
確かにそうなんですよねぇ……あの回復薬も質は良さそうでしたし。
……よしっ、試しにパーティを組んでみましょう!
話だけでは限界がありますからね。
という訳でニコさんとパーティを組む事に。
お試し期間だという事は伝えましたが、凄く喜ばれました。
精一杯頑張ります! って……うん、何か上手くやっていけそうな気がします!!
とりあえず今日は解散して、本格的な活動は明日からという事に。
ニコさんにも色々準備がありますからね。
さて、明日の為に何かいい感じの依頼を見つけておかないと……。
今日の収支
銅貨:-15枚(酒場:お茶代等)
銀貨: -1枚(宿泊費×2)(寝床◎、食事◎)
――――――――
残金:銀貨32枚、銅貨80枚
猫銀銭30枚
。('-'。)(。'-')。ワクワク ようやくCランクのお仕事が出来そうです。
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