77日目:どっちへ進むの?
神聖歴六一〇二年・
う~ん、新しい朝です。
目が覚めると横にはノアさんが……寝坊とか珍しいですね。
よし、今日の朝食は私が頑張るのです!!
そう思ってテントの外に出たのですが、兄が既に作り始めていました。
右手だけで器用に作業しています。というか料理出来たんですか!?
……何か色々負けた気がします。屈辱です。
出来上がった朝御飯は意外な程美味しかったです……何なんですこの兄!?
食事を終えたら今後の話し合いを行います。
ノアさんと合流出来たものの現在地が不明という問題は解決していないんです。
ただ、いい事もありました。ノアさんが岩露草を採取してくれてたんですよ!
私達の探索中に偶然見つけたんだとか。これで帰還だけに集中できますね!!
とりあえず進む方角を決めたいです。
太陽が出ていれば楽でしたが生憎の雨……。
悩んでいるとある事を思い出しました。
確か切り株の年輪で方位が分かると本に書いてあったような?
ここは山ですし木なら沢山あります……試してみますか。
……切り株が見つかりません。
そうですよね、こんな山奥の木をわざわざ伐り出して運ぶ樵さんはいないのです。
諦めかけていると、無ければ作っちゃえば? とノアさん……。
そんな簡単に……斧もないのにどうするんです?
すると、魔術で! と事も無げに言いその右手を立派な木へ翳すノアさん。
次の瞬間、大気を斬り裂く様な鋭い音がそこから放たれます。
遅れて不気味な音を周囲へ響かせながらゆっくりと倒れ始める巨木。
えっと、ノアさんってクォーターエルフですよね……?
仮にもエルフの血を引いてるのに、躊躇なく木を伐り倒すとか……。
ま、まぁ、お陰で切り株が出来たのです!
早速方角を調べましょう! 確か年輪の幅が狭い方が北でしたっけ?
む、微妙に難しいです……こっちですかね?
判断出来ずにいると、兄が助言してきます。
年輪だけで決めずに他の方法も試すべきだと。
兄が教えてくれたのは苔や木の枝振りで方位を判断する方法でした。
なんでも苔は北側に多く付き、木の枝は北が少ないそうです。
そして木の葉が大きく沢山あるのが南なんだとか。
なるほど、それらを年輪の幅と合わせれば何とかなりそうです!
よし、進む方向も分かったので出発しましょう。
大まかな地図は頭の中にあるので多分なんとかなります。
この山岳地帯から北へ進めばいずれは大きな街道に出る筈です。
そうすれば後はその道を帰るだけ……何も問題はありません。
今夜は山の麓で雨の中野宿です。
夕食はノアさんと兄が作ってくれました。
私も手伝おうとしたら二人に全力で止められます……何故ですか!?
完成したのは野菜スープに、パン、サラダ、お肉の串焼き等。
……今までで一番豪華です!! どういう事です!?
あぁ!? ノアさんと兄がお互いの料理の腕を認め合って仲良くなってる!?
くっ……いつか、いつか絶対私だって料理上手になるんですからね!!
ふふっ、やっぱり皆揃うとどんな時でも楽しいです。
今日の収支
岩露草(指名依頼品)
――――――――
残金:銀貨59枚、銅貨45枚
猫銀銭30枚
(≧ヘ≦) ムゥ 私だって練習すればきっと!!
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