70日目:これが私の……。
神聖歴六一〇二年・
……どんなに嫌でも次の日は来るものですね。
憂鬱ですが……お仕事なので頑張ります。
待ち合わせはお昼過ぎ、その前に食料品等を買い揃えないと……。
買い物を終え、約束した時間の少し前に街の西門へ。
えっと……ヤツは何処ですか……あ、いた。
門の近くで雨宿りをしています。
フワッとした金色の髪に蒼い瞳、男性の割に華奢な体……相変わらずの優男です。
右耳に付けた銀製のイヤーカフや胸元のペンダント、左手の腕輪等、数々の装飾品が更にその印象を強めます。
装備は鈍色の金属製胸鎧とブーツ、あと腰に長剣ですか……。
そんな兄に近付くと私に気が付いた瞬間、自然な動作で抱き付いてきました!!
!? ちょっと!! 周りの人やノアさんが変な目で見てるじゃないですか!!
離れて下さい!! ……くっ、細いくせに無駄に力が強いですね!!
やっとの思いで逃げ出すと、ノアさんが唖然とした様子で見詰めていました。
はぁ、はぁ、疲れました……ノアさん、これが私の兄ですよ。
えっと、名前は……うん、知らなくていいです。唯の変態なので。
そう説明すると心外だと言わんばかりに抗議して来る兄。
久々に会ったのだからこの位の愛情表現は普通だと、寧ろ自重してる方だと。
ないですから!! ほら、ノアさんがドン引きしてるじゃないですか!!
もう本当嫌です、この兄……。
その後、兄が用意していた幌馬車に乗り目的地へ向かいます。
……この馬車なんだか見覚えがありますけど深く考えたら負けな気がします。
楽が出来たと思って大人しく乗っておきましょう。
因みに馬車を操っているのは兄です。
なんでも久々に良い所を見せたいんだとか……意味が分かりません。
今回目指すのは街から離れた山岳地帯です。
距離的に馬車で二日といったところでしょうか。
採取目的は
特別珍しいモノではなく薬草店で一般的に流通しています。
わざわざ指名依頼を出すまでもないんですよ、本来なら……本当面倒です。
夕暮れ前、雨が止んだ隙に急いで野宿の準備を行います。
兄は率先して手伝い、もとい邪魔をしてきたので馬車の荷台に放り込みました。
大人しくしていて下さい……時間が無いんですから!!
夕食はノアさんが作ってくれました。
兄は何故か酷く残念がっていましたけど失礼ですね。
ノアさんの手料理は最高なんですよ!!
それにメニューは何時もと一緒ですが、今回の食材は高級品ばかりなのです!!
少しは感謝して下さい。
食事を終えると交代で仮眠をとることに。
すると当然のように私の休むテントに入り込んでくる兄。
あっち行って下さいよ!? 一緒に寝るとかあり得ませんからね!?
ノアさん!! 苦笑してないで助けて下さい!!
如何にか外へ追い出し、ようやく横になります。
あぁ、色々疲れました。
これが順調に進んで後四日……地獄です。
――兄との最悪な指名依頼はまだまだ始まったばかりです。
今日の収支
銀貨:-2(食料品等)
――――――――
残金:銀貨59枚、銅貨45枚
猫銀銭30枚
。。゙(ノ><)ノ ヒィ こっち来るな! 来るなです!!
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