69日目:最悪の指名依頼……です。
神聖歴六一〇二年・
目が覚めたのはお昼少し前……まだちょっと眠いです。
……でも、お腹空きましたね。
うん、ギルドへは軽く食事をしてから向かいましょう。
この宿の食事メニューもそろそろ制覇しそうなので新しい所を開拓したいですね。
今度ノアさんに相談してみますか。
ギルドへ着くと早速、受付のお姉さんに昨晩の報告をします。
内容を伝えると凄く慌てていました。
急いで新しいクエストの発行準備をするお姉さん。
チラッと見たら推奨ランクAって……。
やっぱり手を出さなくて正解でしたね……私まだDランクですし。
さて、報告も済んだのでクエストボードで仕事を探しましょう。
何かサクッと大金が稼げるのがいいです。
結局、沼の調査では儲けの殆どが聖水の代金に消えましたからね……。
暫く悩んでいると受付のお姉さんが笑顔で此方に向かってきます。
その手には依頼書っぽいものが……凄く嫌な予感がします!!
……予感的中です。お姉さんから渡されたのは指名依頼。
断ると今後の信用問題に発展するという厄介なアレです。
……誰ですかこんな面倒なのを寄越したのは!!
依頼主は……思わず紙を破り捨てたくなりました。
後々の評判? 知りませんよ、そんなの!!
記されていたのは兄の名前です。
……ふ、ふふっ、ギルドマスター、私を売りましたね!?
断固抗議して依頼を差し戻させるのです!!
そう勇んで執務室に乗りこんだのですが、却下されました。
何故ですか!? この前の約束を忘れたとは言わせませんよ!!
ライ君達をダンジョンへ連れていけば、私の事は秘密という話だった筈です!!
そう問い詰めると、例の依頼書を見せたらお前さんが勝手に引き受けたのだ、と突っ撥ねるギルドマスター。
なっ!? 卑怯です!! それは卑怯です!!
怒りに震える私にギルドマスターは優しい声で諭してきます。
そろそろ一度真剣に話し合って来いと。
自分の見た感じではお前さんの気持ちを無下にはしないだろうと。
……でも、でもぉぉ!!
迷っていると、断ればギルドカードを剥奪すると脅してきます。
それは横暴です!! 職権乱用です!! 慈悲は、慈悲はないんですか!?
しかし、ない! と一言で切り捨てられます……そんな最悪です。
ギルドの待合室へ戻るとノアさんが心配そうに近付いて来ます。
事の顛末を話すと気の毒そうな表情になるノアさん……。
うぅ……仕方ないです。覚悟を決めましょう!!
凄く嫌ですが依頼内容を確認します。
えっと……意外と楽ですね。普通の採取任務です。
本当に私と会う事だけが目的なんですね……。
とりあえず出発は明日ですか……。
なんかもう色々やる気が失せたので今日は宿へ帰りましょう。
あぁ……憂鬱です。
宿は明日への英気を養う為にいつもの高級宿よりワンランク上の宿屋です。
……本当ならもっと楽しい気分の時に泊まりたかったですねぇ。
今日の収支
銅貨:+30枚(依頼報酬)
銀貨:+5枚(依頼報酬)
-2枚(宿泊料×2)(寝床☆、食事☆)
――――――――
残金:銀貨61枚、銅貨45枚
猫銀銭30枚
(_ _。)・・・シュン 会いたくない、会いたくないのです。
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