67日目:沼の火の玉
神聖歴六一〇二年・
一晩泣いたら割とスッキリしました。
うん、使ったものは仕方ないですね。
また手に入れればいいんです! 待っていてね愛しの金貨!!
私が元気に部屋へノアさんを呼びに行くと、彼女は何処かほっとした様子でした。
二人で仲良く朝食を終え冒険者ギルドへ。
さて、今日はどうしましょうか……微妙に天気が悪いですからね……。
他の冒険者さんもクエストに出るか、酒場で暇を潰すか迷っている感じです。
とりあえず、クエストボードの新着依頼を確認。
何か面白い仕事があるでしょうか?
……あ、これとか報酬も高くていい感じです。
内容は夜ごと沼に現れる火の玉の調査。危険な魔物なら討伐して欲しいと。
火の玉……鬼火やウィルオウィスプの類ですかね?
依頼を受付のお姉さんに渡しつつ、沼の周辺で何か起こっていないか尋ねます。
するとここ最近、この沼の近くで道に迷う旅人が多くいるらしいです。
う~ん。正体を予想するには決定力に欠けますね。
……ただ準備だけは確り整えておきしましょう。
食料等を市場で買い込みつつ、教会へやってきました。
何の神様の教会かは知りません。
というかこの国、宗教に対してかなり自由で信仰の対象が多過ぎるんです。
まぁ、信仰の自由があるというより、宗教組織の権力分散を目的とした極めて政治的な理由なんですけどね……と、話がずれました。
で、そんな教会に何の用事かというと、聖水を貰いに来たんです。
依頼から察するにゴーストやアンデッド系の魔物の可能性もありますからね。
小太りの男性神官さんにお布施を渡して聖水を受け取ります。
……くっ……瓶一本でこの値段……ぼったくりも甚だしいです。
その脂ぎったニタニタ顔も不快ですし……早く帰りましょう。
……信仰心が無くてもお金さえ払えば手に入る聖水。
今更ですが効果があるのか少し心配になってきました……大丈夫ですよね?
一抹の不安を感じていると、ノアさんが少し待っていて欲しいと言い残し近くのお店に入って行きます……なんでしょうね?
暫くすると笑顔で戻ってくるノアさん。その手には小さな箱が二つ。
その一つを私に手渡してきます。
開けてみると中には銀色に輝く指輪が……。
指輪には蔦の様な植物と妖精文字が絡まり合う複雑で精緻な模様が全体に彫られていました。……凄く綺麗です。しかもノアさん曰くミスリル製だそうです。
これ如何したんですか? 驚きと疑問でノアさんを見詰めますが、相変わらず秘密と言って教えてくれません。
そして、ノアさんはもう一つの箱から同じ意匠の指輪を取り出すと自分の指に嵌め、お揃いだよって微笑んできます。
……うん、よく分かりませんけどノアさんが嬉しそうならいいですかね、別に。
さぁ、では問題の沼に向けて出発です!!
……あ、もしかして金貨ってこれの製作費ですか!? ノアさん!?
素材のミスリルもあの豆粒インゴットですね!?
……今夜にでもキッチリ説明してもらうのです!!
今日の収支
銀貨:-1枚(食料品等)
-5枚(聖水×1瓶)
――――――――
残金:銀貨58枚、銅貨43枚
猫銀銭30枚
ρ(^-^*)ノ 新しいお仕事頑張るのです!!
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