64日目:ちょっぴり寂しい終わり。
神聖歴六一〇二年・
ルーファの街に到着すると早速ギルドへ向かいました。
いつものお姉さんに依頼を報告し、採取品も換金してもらいます。
しかしゴーレムは詳細な鑑定をするため依頼報酬は明日という事に……。
まぁ、今日は採取品だけ換金できれば大丈夫です。
ギルドを出たらライ君達とは一旦お別れします。
夜には打ち上げをする予定ですけど、その前にお風呂とか入りたいですし……。
それではまた後ほど。
……むぅ、別れ際ライ君に物凄く睨まれました。
結局昨日からずーっとこんな感じなんですよね……最初の頃に戻ったみたいです。
もうすぐお別れなのに……。
夕方、ギルドの酒場には既にライ君達の姿が……早いですね!?
料理はセバスさんが注文しておいてくれたそうなので、早速乾杯です!!
あ、ライ君は勿論ジュースですからね!?
で、楽しく宴会が始まり――ませんでした。
原因はライ君……物凄く不機嫌なんです。
そのせいで微妙に盛り上がりません……ご飯が美味しくないです。
流石にこれは注意しようと思った矢先、何故かライ君が泣きだします。
な、何ですか!? 私まだ何も言ってないですよ!?
急な涙に困惑しているとライ君の小さな呟きが聞えてきました。
別れたくない、まだ冒険したい、一緒にいたい……ってライ君。
私は席を立ち上がると思わず彼を抱きしめてしまいました。
この二日間ずっとそれで悩んでたんですね……。
でも如何していいか分からないからあんな態度を……なんて不器用な子。
暫くすると段々と落ち着きを取り戻すライ君。
けれどやはり元気がありません。
……最後に渡すつもりでしたけど仕方ありませんね。
私は微笑むと小さな箱を彼に手渡します。
何か分からずキョトンとするライ君……いいから開けてみてください。
不思議そうに箱を開くと中から出てきたのは、私が使っていた紅い刃の短剣。
それは君へのプレゼントですよ。
私のその言葉にライ君は目を瞬かせます。
確かに今日でお別れかもしれません。
でも私は冒険者です。ライ君が冒険者を目指すなら何時かきっとまた出会えます。
だから、それを使いこなして立派な冒険者になって下さい。
今度はちゃんとしたパーティを組んで冒険しましょう? 約束です。
そう言って笑うと、ライ君も涙を拭って笑い返してくれました。
ふふっ。やっと笑顔が見れましたね。
その後の食事は和やかな雰囲気で進み、夜も大分更けた頃にお開きになりました。
現在はギルドの外。ライ君はセバスさんの背中で小さく寝息を立てています。
その寝顔を見詰めそっと彼の頭を撫でます……待ってますからね、いつまでも。
挨拶の後セバスさん達が闇夜に溶け込むまで、私はその背を見送り続けました。
――こうして私の憂鬱なお仕事はちょっぴり寂しく終わりを迎えたのでした。
今日の収支
銅貨:+30枚(マナ結晶(小)×1(破損))
-2枚(大衆浴場入浴代×2)
銀貨:+2枚(各種鉱石)
-3枚(打ち上げ代)
-1枚(宿泊費×2)(寝床◎、食事◎)
――――――――
残金:銀貨45枚、銅貨99枚
鑑定中:ゴーレム1体
"(/へ\*)"))ウゥ、ヒック な、泣いてませんし!!
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