63日目:ミスリル銀
神聖歴六一〇二年・
う~ん、よく寝ました。
周囲を見渡すとコボルド達が丸くなって寝息を立てています。
宴会は終わったようですね。
ライ君は……まだ夢の中ですか。
未だに私の手を掴んでいるのでテイッと引き離します。
いつまで甘えてるんですか全く。
その様子を見ていたノアさんがクスクスと面白そうに笑います。
随分仲良くなったねって違いますからね!? たまたまです!!
むぅ……信じてませんね……いいですけど。
あ、そうだ。この宴会は何だったんですか?
尋ねるとこれはゴーレム討伐のお祝いだと教えてくれます。
……討伐祝い? ってか討伐したんですかアレ!?
驚く私へ自慢げに頷くノアさん……相変わらず底が知れませんねこの人。
でも、それで何でコボルドがお祝するんです?
理由を聞くと第六階層で彼らに全く出会わなかった謎が解けました。
なんでもあのゴーレムが居座ってからコボルド達は第五階層から下へ行く事が出来なくなっていたそうです。
そして今までに何度か彼らだけで討伐を試みたものの、その度に返り討ちに遭い困り果てていたんだとか。
そういう状況だったので今回の件は大変感謝され宴会になったと……。
……つくづく迷惑なゴーレムです。
製作者を特定してギルドへ報告してやりましょうか……。
そんな事を考えながら、ノアさんの話に適当に相槌を打ちます。
へぇ~あのゴーレム、ミスリル銀製なんですか。
やたら丈夫だった訳ですね……ってちょっと待ちなさい!!
ミスリル銀!? アレ全部ですか!?
慌てて訊き返すと驚いた様子で頷くノアさん。
何でそれを早く言わないんですか! これで依頼達成ですよ!!
あ、でもどうやって運び出しましょう……。
ノアさん、まさか全部収納出来たり……しますか?
すると自信あり気に胸を叩く彼女……凄いですねエルフ族の空間魔術。
あの大きさを入れても大丈夫とか……やっぱりずるいです。
その後ゴーレムの回収は割と簡単に終わりました。
では、地上へ向けて出発しましょうか。
残り四階層……頑張ります!!
と思ってたんですが……現在、廃鉱ダンジョンの入口です。
コボルド達に案内してもらうと、あっという間でした。
うん、やっぱり彼らとは仲良くしておくべきですね。
お陰で予定より随分早く帰れます。
街に着いたらお風呂に入ってゆっくりしたいですねぇ。
あれ? ライ君、何か拗ねてます? あ、顔を逸らされました。
……ここ数日素直で可愛かったのに変ですね。
馬車の準備をしていると何時ぞやの正騎士団に出会いました。
どうやらこれからダンジョンへ突入する様です。
……本当一体誰を探してるんでしょう?
まぁ、無視ですけどね。尋ねられれば情報は提供しますけど……。
さて、それでは街へ向かって出発です!!
もぅ、ライ君いつまでそんな態度でいる気ですか?
あと少しで依頼も終わるんですよ……。
――けれどこの日ライ君の機嫌が直る事はありませんでした……仲良くなれたと思ったんですけどね。
今日の収支
ゴーレム1体
――――――――
残金:銀貨47枚、銅貨71枚
未換金物:各種鉱石、マナ結晶(小)×1(破損)
(・_・?)……ライ君どうしちゃったんでしょう。
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