50日目:ルーファの街の地下
神聖歴六一〇二年・
この時期にしては珍しく良い天気の中、朝から張り切って冒険者ギルドへやってきました。何のクエストを受けるかは昨晩ノアさんと宿で相談済みです!!
早速クエストボードからダンジョン関係のお仕事を探します。
依頼を受けなくてもダンジョンなら素材だけで割と稼げるんですけどね……。
ノアさんが私のランクを早く上げる為に、どうしてもクエストを受けたいって言うんです……。
……ランク……これ以上上げても良い事があるんでしょうか?
昨日、ランクに応じて増税されるという事実が発覚してから警戒しているのです。
ノアさんに尋ねても上がってからのお楽しみと言って教えてくれませんし……。
まぁ、騙されたと思って暫くは頑張ります。
今回選んだ依頼は、屑マナ結晶とデロドロ液の納品です。
屑マナ結晶は楽ですね、ダンジョンなら何処でもありますし。
問題はデロドロ液です……上手く採取できるといいなぁ。
さて、ここでルーファの街のダンジョンについて説明しておきましょう。
この街の周辺には三つのダンジョンが存在しています。
一つ目は鉱石の採掘中に掘り当てた、ルファルド廃鉱ダンジョン。
二つ目は地下墓所の発掘中に見つかった、リトス地下大霊廟。
最後が今回向かうヘーロ地下水路……ルーファの地下に眠る太古の街の遺構です。
この地下水路は今の王国がこの地にルーファの街を造る際に発見したそうです。
水路の建築年代は不明ながら、その機能は生きていたので王国はそれ利用をする事を計画します。
後の詳しい調査でダンジョン化している事が判明しますが、その時にはもう街の半分以上が完成していました。
その為、ダンジョンの特性上封印する事も出来ずやむを得ず放置したとか……。
……王国の怠慢による負の遺産ですよね……あ、筆が滑りました……後で消しましょう。
まぁ、退屈な歴史の話はここまでにして、早速ダンジョンへ向かいます。
入口はなんと街の中心部にある噴水の横、そこにある石造りの小さな建物の中。
衛兵さんが常時七~八人で見張ってますけど……それでも街中とか……。
ノアさんも実際に見たのは初めてらしく、この事実に唖然としています。
私達に驚いた様子の衛兵さんから許可を貰い、松明を持って地下へ続く階段を進みます。……暦の上では雨期ですからね、今の時期ここに潜る人は多くありません。
けど、そのお陰で報酬が少し高かったんですよ。
階段を降りきると湿った生臭い空気が鼻を突きます。
それに暗いですね……松明があるのにそれでも視界は最悪です……歩き辛い。
今日中に終わるのは無理そうですね。ダンジョン内で野宿……嫌だなぁ。
地図を広げて現在地を確認……うん、迷ったらこれは完全にアウトです。
逸れないで下さいよ、ノアさん……目指す第二階層への入り口はまだ先です。
――こうしてノアさんとの初めてのダンジョン探索がスタートしたのでした。
今日の収支
銅貨:-5枚(松明セット×2)
-50枚(地下水路の地図)
-30枚(食料品)
-15枚(油壺×3)
-20枚(採取瓶×5)
――――――――
残金:銀貨46枚、銅貨35枚
(ノ_-;)ハア… 失敗したかなぁ、この依頼……。
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