51日目:ヌメッと遭遇です……

 神聖歴六一〇二年・水蛇みずへびの月第三日・天気:不明


 暑いです……眠いです……キツイです。

 現在、ヘーロ地下水路ダンジョン第二階層入り口付近で休憩中です……。


 ここまで来るのは大変でした……灯りが松明頼りって本当辛い。

 あと殆ど仮眠等が出来ていないのも疲労の原因でしょう……。

 ターベの街の迷宮蟻ダンジョンより何気にエグイですよ、ココ。


 安全な場所がないからゆっくり休めないのは同じですけど、兎に角湿っていて暑いんです。

 休憩していても体力が削られていきます……今も休めている気がしません。

 アレですね、涼しくなる魔術的な何かが欲しいです。

 ノアさんに尋ねたら、そういった補助魔術は習得してない、と疲れ切った表情で返されました……メイド服暑くないですか?

 

 ……補助魔術が得意なのは……神官とかでしたっけ……うわぁ、縁遠い。

 あの人種は基本的に一般人からのお布施で生きてますからね。

 何か問題でも起こして破門されない限り冒険者なんかにはなりません。

 まぁ、冒険者も最終手段ですけどね……普通は何かしら別の職に就きます。

 あれ? でもマリナさんって修道服を着ていたような……あのコミュニティは色々謎な人が多過ぎます。


 さて、そろそろ第二階層へ降りましょう。

 ここまでは戦闘の大部分をノアさんのお陰で避ける事が出来ました。

 彼女の聴力で松明では照らせない通路の奥に何がいるのかいち早く察知し事前に回避してきたんです。

 体力も無限ではないので無駄な戦闘行為は控えるのが鉄則です。


 ――第二階層へ到着しました。

 うん、相変わらず暑い……地下って涼しいと思ってたんですけどね……。

 とりあえず先へ進みます。早く屑マナ結晶とデロドロ液を手に入れないと……。


 ひゃ!? なんですか!? 背中に何か――ンッ――!!

 息が! 息がぁ!! いきなり目の前が暗くなり、息が出来なくなります。

 一大事です!! 緊急事態です!!

 一人パニックに陥っていると――っつ!! 痛い!!

 今度は突然痺れたような痛みが全身を駆け巡ります。

 あれ? でも息苦しさが消えて……周囲も暗いなりに見えるように……。


 座り込んで乱れた息を整えていると、ノアさんが焦った様子で注意してきます。

 指差す方へ目を向けると、妙にテカテカとする水溜りが――って今動いた!?

 慌てて立ち上がりその場から跳び退きます。

 その間もモゾモゾと伸縮を繰り返す水溜り……。


 ……あ! これスライムですよ! 今回の目的の一つ!

 なるほど、さっきのアレは天井から頭に落ちてきたコイツの仕業ですか……。 

 髪に触ると……物凄くヌメヌメします……最悪です。


 でも丁度良かったです。デロドロ液の正体はスライムの体の一部なんですよ。

 早速コイツを刻んで瓶に詰め込みましょう!! 

 ふふふっ、のこのこ出てきたのが運の尽きなのです。


 ……詰め終わりましたけど足りませんね。

 ……また探さないと……先へ進みますよノアさん。

 今度は天井をよく注意しましょう。


 ――地下水路探索はまだもう少し続きそうです。


今日の収支

(屑マナ結晶×1、デロドロ液1瓶と1/2)

――――――――

残金:銀貨46枚、銅貨35枚


(´Д`|||) ドヨーン スライム……気持ち悪いです……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る