45日目:大発見です!!

 神聖歴六一〇二年・皋竜こうりゅうの月第二八日・天気:雨


 ……例の指名依頼を受けた途端に雨……呪いですか?

 季節的にそろそろ雨期ですけどタイミングが……。

 少し憂鬱になりながらノアさんを呼びに部屋へ向かいます。


 部屋の前に着きドアをノックしますが返事がありません。鍵もかかってます。

 あ、もしかして急病ですか!? 大変です!! 鍵を借りてこないと!!

 慌てて駆け出そうとすると、ドア下の隙間からスルーっと紙が一枚出てきます。

 何ですかね……嫌な予感が。


 紙には簡潔に一言、雨天休業。はぁ!? 何言ってるんですかこの人は!?

 驚いてドアを叩きます……出てきなさい! 今すぐに!! 早く!!

 すると隙間から再び紙が……私の分も頑張って! ……本気だぁ!?

 そしてそれ以降何をしても反応はなく、最後は宿の女将さんに他のお客さんの迷惑になるからと注意される始末……。

 ……もうノアさんは諦めましょう。


 雨の中一人寂しく荷車を引いて森へ……相変わらず空でも重いです。

 あ、今日中に街へ帰れるか不安なので、ノアさんの宿代は数日分払ってきました。

 小銭も少し置いて来たので、後で女将さんが渡してくれる筈です。

 ……あぁ、本当は二人で頑張りたかったなぁ……ノアさんの馬鹿……。


 色々考えながら進んでいると最初の目的地に着きましたが……これは……。

 以前モミジャ草を採取していた川の近くですが見事に群生地が消失しています。

 ギルドが焦るのも分かりますね……他もこの状況だと非常に不味いです。

 急いでこの先にある湿地帯の様子も調べに行かないと……。

 あそこはここよりも大きな群生地でしたけど……大丈夫ですかね……。


 最悪です。あんなに生い茂っていたモミジャ草が今では五分の一もありません。

 しかも残ったそれすら今居座っているキングナメーク六匹が食べ尽くしそうです。

 ……早いとこ駆除しましょう。

 

 戦闘は数分で終了しました。

 こいつらを狩る速度と効率が段々と上がっていく自分が嫌ですね。

 さて、討伐したキングナメークを荷車に載せて次の場所へ移動です。

 

 その後も数ヵ所の群生地を巡り、今日は合計で一〇匹駆除しました。

 ただ、街から大分離れてしまったので今夜は森で野宿です……予想はしてました。

 テントを張って食事の準備……って道具はノアさんでしたね……。


 干し肉を噛みながら焚火を眺めていると、ふとある考えが浮かびます。

 ……携帯食料って焼いたらどうなるんでしょう??

 どうせ殆ど食べませんし試してみましょうか……木の枝に差して火の近くへ。


 数分後、目の前には表面に軽く焦げ目の付いた携帯食料が。

 い、いきますよ!! ――――!?


 何コレ美味しい!? 表面はカリッと中はトロッしてあの嫌な粘土っぽさが消えてます!! 妙な甘さも凄く上品な感じに!! これは大発見です!!

 

 ……ノアさんと一緒に食べたかったですね。


今日の収支

銅貨:-56枚(宿泊料×4)(寝床〇、食事〇)

   -2枚(荷車レンタル料)

銀貨:-1枚(ノアさん生活費)

――――――――

残金:銀貨6枚、銅貨51枚


(キングナメーク討伐数10/40)


(ノ_-;)ハア…あと30匹……遠い……。

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