41日目:急がば回れ

 神聖歴六一〇二年・皋竜こうりゅうの月第二四日・天気:曇


 今日は曇で涼しいですねぇ。

 徒歩だから気温が心配でしたがこれなら大丈夫です。

 街までこの天気だと良いですね。


 さて、メイドさん改めノアさんですが道すがら色々お話しました。

 まずメイドのお仕事は辞めてきたらしいです。

 簡単に辞められた理由は、元から食客扱いだったらしくメイドは趣味でやっていたので問題なかったそうです……趣味だから未だにメイド服なんですね。

 

 あれ? ならなんであの話の時涙目で必死だったんですか? 指摘したら、何事も全力でやらないと面白くないですよ、と笑顔で返されました。

 そうそう辞めるついでに私の事も色々話してくれたようでその辺は今後安心して良いそうです。


 それと道具の謎が解けましたよ! あれはエルフが得意としている空間魔術の一種だそうです。

 しかしクォーターエルフである彼女が使えるのはその一端らしく、道具を異空間に仕舞えるだけだと説明されました。

 つまり目に見えない魔法のバックを持っているようなものですか……なんかずるいです!!


 そんな感じで楽しくお喋りしながら進んでいると、ノアさんが突然近道しましょう! なんて提案してきます。

 え、いえ遠慮します。この道を進んで行けば三日後には無事にルーファの街に着くんです。

 すると、新しい道を開拓するのも冒険ですよ! とかそれっぽい事を熱く語ってきます……あ、やっぱりこの人面倒です。


 そして無駄な勢いに流されて現在、森の中で迷子です……。

 ノアさん? あのまま進んでいれば夕方には野営予定地に到着してたんですよ?

 なのにここは何処でしょうね? さっきから同じ場所をぐるぐるしてませんか?? 

 ……顔を背けずこっちを向きなさい!!


 ……というわけで不本意ながら今日は森の中で野宿です。

 この時期に理由なく森でとか最悪です。

 うわっ! ほらぁ~!! 変な虫が飛んで来たじゃないですかっ!!

 ……嘆いていても仕方がないので手早くテントを張り終えます。

 ノアさんには虫除けの薬草を探してもらっています。朝起きた時に体中が虫刺されの跡とか考えただけでぞっとします。


 彼女が戻ってくるまでに晩御飯を作りましょう。

 まぁ、メニューは最近の定番になりつつある干し肉のスープと焼き締めたパンですけどね。

 む……鍋に虫が!? ……やっぱりこの季節の森はダメですね。


 暫くするとノアさんが帰って来たので一緒にお食事です。

 あ、今回は前回よりマシかもです!! 相変わらずお肉は硬いですけど味は進歩しました!!

 ノアさんも無言で食べていますし美味しかったんでしょうね! 良かったです!


 そう思っていたのに食べ終わると、次回からは自分が作りますから、とノアさんに宣言されてしまいました……。

 え? えぇえ!? 嫌です! ダメです! 実は料理するの楽しみなんですよ!?


 抗議しますが、料理道具を全て空間魔術で仕舞われて取り上げられました。

 酷いです!! やっぱりその魔術はずるいのです!!


 ……何時か、何時か美味しいと言わせてみせますからね!!


今日の収支

特になし

――――――――

残金:銀貨4枚、銅貨25枚


(`ヘ´) フンダ!!! 次は! 次こそは!! です!!

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