39日目:帰る準備。

 神聖歴六一〇二年・皋竜こうりゅうの月第二二日・天気:晴


 喉が渇きました……お水欲しい。

 ……再び酒場での朝……段々と何かに毒されつつある自分が怖いです。


 お水を飲んでいると酒場の中央で物音が。

 視線を向ければマルガさんとカールさん、エルさんがいました。

 マルガさんとカールさんって確か最後の方に金貨一〇枚を懸けて飲み勝負してましたけど……まさかまだ勝負がついてない!?


 近寄ると本当に飲み続けてました……引き攣った表情でエルさんを見ると肩を竦められます。

 聞けば勝負を始めるといつもこうなんだとか。

 ジャッジの自分は大変だ、と愚痴りながら近くにあったボトルに口を付けます。

 ……え? 審判と言いつつエルさん、お二人より遥かに飲んでますよね? 

 けど全然酔ってないみたいです……うわぁ。

 と、とりあえず三人へ挨拶をしてお仕事へ出発です。お疲れぇ~と手を振ってくれますけど……大丈夫かな?


 クエストを選んでいてふと気が付きました。誰か足りない……あぁ! メイドさんがいません!!

 そう言えば昨日、エルさんと何か話してたようですけど、その後から姿がない気がします……。

 まぁ、その内戻って来るでしょう多分。今日は軽めの任務が良いですね……あ、運搬任務が残ってる!


 というわけで今日は荷物運びです。街中を巡って指定の場所に荷物を届けます。

 早朝に来ないと受注出来ないんですけど、多分あの宴会のせいで皆酔い潰れてるんですね。

 その後、配達は何の問題もなく昼過ぎには終わってしまいました。楽々ですね。

 時間が早いのでギルドへ報告に戻る途中で貸し馬車の値段を調べます。そろそろルーファの街へ戻りたいですしね。


 ……馬車……高いです。人件費ってこんなに要るんですね。

 馬車なら護衛ついでに乗せてもらう方が現実的ですか……。

 護衛……嫌だなぁ……徒歩にしようかなぁ。


 悩みながらギルドへ帰ると酒場が騒がしいです。

 様子を窺うとマルガさん達が未だに飲んでいました……。

 エルさんが気付いて手を振ってくるので傍へ行くと……うわぁ、お酒臭い。

 もう二人とも半分意識がなさそうですけどそれでも飲んでます……だ、大丈夫ですよね?


 心配になってエルさんを見ますがニコニコするだけ……ダメです、この人も酔ってるっぽい!!

 てか周囲の冒険者さん達は誰が勝つか賭け始めてる!?

 ……う~ん、じゃあ私は……エルさんに! なんで審判が賭けの対象に入ってるか謎ですが、多分そういう事なんでしょう。

 私が賭けるのを知るとエルさんは微笑みながら頷いてくれました。

 頑張ってください!!


 酒場を抜け受付に任務の報告へ向かう途中でマリナさんを見つけました。

 なので近日中に街を出る事を伝えます。

 名残惜しそうでしたけど最後は頑張ってね、と言ってもらえたので良かったです。


 さぁ、宿へ帰りましょう。

 酒場の方でマリナさんの怒号が聞こえましたけど……私の賭け金大丈夫ですかね?


今日の収支

銅貨:+75枚(配達任務15個分)

   -13枚(宿泊費)(寝床〇、食事〇)

   -25枚(賭け金)

――――――――

残金:銀貨4枚、銅貨50枚


「(゚ペ)ありゃ? メイドさん戻って来てない……何処行ったんでしょう?

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