12日目:護衛任務の開始
神聖歴六一〇二年・月兎の月第二五日・天気:曇時々雨
また雨ですか。生憎の天気に気落ちしながら、以前買った野宿セットに不備がないか再点検し、集合場所へ出発です。
待ち合わせ場所には、荷馬車が三台停まっていました。
慌てて駆け寄ると、同行するBランク冒険者さんと、他二人の方が既に待っていました。どうやら私が最後に来てしまったようです……失敗しました。
遅れた事を謝ると、自分達も今来たところだと、笑って許してくれました。
その後、自己紹介を行います。
同行してくれるBランク冒険者さんは、マルガさんといわれる女性でした。
髪はボブカット。装備は肌の露出の多い革鎧と、短剣、鞭等でいわゆるシ―フルック。スタイルが良い方なので、この鎧は少し目に毒ですね……。
後の二人は同じFランクの方でした。
一人は金属鎧を着込んだ大柄な男性。名前はガンツさん。頭もアーメットを装備しているので、鉄壁といった感じです。
得物は身の丈程の両手剣。金属鎧を着てその大剣……相当な膂力の持ち主なのでしょう。
もう一人は、黒いとんがり帽子に、裾の長いローブを纏った小柄な女性。名前はミリさん。見た目的に魔術師でしょうか? どこか小動物のような可愛い印象を受けます。
ただ、得物を見て言葉を失いました。
なんとモーニングスターです。しかも柄と先端を鎖でつなげたフレイル型……絶対、見た目通りの人じゃないのです!!
ようやく私の番になったのですが、何か言う前にマルガさんがポツリと呟きました。「あ……ナメークハンター」と……。
それで他二人も納得したようでした。あぁ、この人が!! という様子です。
え!? ちょっと待って下さい!! その不名誉な二つ名はどこまで広がってるんですか!?
というか、私の自己紹介!! まだ、名前すら言ってないのに何で終わる雰囲気なのです!?
慌てる私を余所に、話は任務の詳細へと移っていきます……ちょっと待って欲しいのです!!
……結局、そのまま仕事の話です。
私は若干涙目でしたが、淡々と説明が続きます。
まずは配置。先頭の荷馬車にガンツさん、二台目に私とミリさん、最後にマルガさんが乗り、それぞれが前、左右、後ろを警戒しながら進むそうです。
天候が若干悪いので、日程が一日程遅れる可能性あり。ただし、それに関しての追加報酬はなし。
あとは細々とした注意事項等が続きます……微妙に面倒ですね護衛任務……。
最後はそれらが書かれた契約書へサインを求められました。サインすると、前金の銅貨三〇枚が貰えるようです。
断る理由も特にないので全員署名します。いよいよ、護衛任務の開始です!!
とりあえず、今日は進めるとこまで進み、日が暮れる前に野営の準備だそうです。
あぁ、それにしても荷馬車って素敵です。小さなぬかるみなら難なく進みます。
ポーターを雇うより馬を飼いましょうかね、可愛いですし……。
さて、真面目に見張りをしましょう。
今日の収支
銅貨:+30枚 (護衛報酬前金)
――――――――
残金:銀貨3枚、銅貨79枚
( ̄~ ̄;) ウーン 日程伸びたのに追加報酬なし……意外とケチなのです商業ギルド……ハッ!? つい本音が……。
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