9日目:新装備
神聖歴六一〇二年・月兎の月第二二日・天気:晴れ
今日は新装備を受け取る日です!! お天気もバッチリです♪
楽しみ過ぎて、いつもより早く起きてしまいました。お陰で午前中は暇だったのです。装備がないからクエストも受注できませんしね。
お昼になったら足早に、武具店へ向かいました。
あまりに嬉しすぎて、すれ違う人皆に変な目で見られたのは、忘れましょう。そうしましょう。
武具店に着くと、お爺ちゃんが既に待っていました。
私の事だから昼になるとすぐに来るだろうと思っていたそうです。
むむむ、二度程しか会っていないのに、私の性格を見抜くとは……やりますね。
そして、店の奥で準備されていた装備品が目に入った瞬間、私は言葉を失いました。
凄い、凄いのです……え? というかこれが本当に追加料金なし!?
革鎧の胸当ては白銀の金属で覆われていました。上の方が厚くなっているらしく、中心を境に凹凸があります。……え、もうこれって革鎧じゃなくて、金属鎧ですよね!?
加えて今までなかった脛当てや籠手まで同様の金属で仕立てられています。えぇ!? 額当てまでも!?
呆然としていると、お爺ちゃんはニヤリと笑い、更に奥から何やら取り出してきます。
手渡されたのはシンプルな作りの二振りの剣でした。片方はいつも使っていた小剣サイズ。もう一方はそれより小振りの短剣です。
震える手で慎重に革の鞘から抜きます。
抜き放ったそれは、どちらも曇り一つなく磨かれていて、それぞれが私の顔をその白銀の刀身に映し出しました。
素人の私でも一目で業物と確信できる品々です……。
ぎこちない動きでお爺ちゃんの方へ顔を向けますが、満足そうに笑われてしまいました。
曰く「ちょっと頑張り過ぎちまったぜ」という事なのですが……ちょっと??
その後も数度、本当に追加料金は要らないのかと確認したのですが、気にせず持って行けと軽い感じであしらわれました。
……お爺ちゃんには今後、足を向けて寝られませんね……いい人過ぎます。
早速、その場で装着させてもらいました。
おおぉ。驚きです……パッと見た感じ、一流の冒険者です。誰もこの装備の私を駆け出しだとは思わないでしょう……。
お爺ちゃんに、馬子にも衣裳だな、なんて言われましたが、今回ばかりは言い返せません。
私もそう思いますもん……。
お爺ちゃんに改めてお礼を言い、私は武具店を後にしました。
ここまでしてもらったのです。今後の装備品関系は全てお爺ちゃんのお世話になりましょう。いい素材が見つかったら、優先的にここに卸すのです。
きっとお爺ちゃんは、気にするなと言いそうですけどね。
さて、明日からはいよいよこの新装備での冒険が始まるのです!!
今までできなかった事がやれる気がします!! 頑張るのです!!
今日は新装備のお祝いも兼ねて、あの料理の美味しい高級宿屋に宿泊です。初日以来ですね!!
かなり贅沢ですけど、今日ぐらいはいいと思うのです。
今日の収支
銅貨:-50枚(宿屋)
――――――――
残金:銅貨76枚
( ̄Д ̄;; 大変なのです……いよいよ残金がピンチ!! このままだと……やはりあのクエストを受注するのです!!
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