7日目:鉱山とコボルド
神聖歴六一〇二年・月兎の月第二〇日・天気:晴れ
今日も快晴! 天気が良いと心も浮き立ちます。
いよいよ採掘作業の開始です!!
昨日マックさんと約束した待ち合わせ場所には、凄い人集りが出来ていました。 少なくとも四〇人はいるでしょうか?
マックさんに聞くと、この集団は今日の採掘パーティなのだそうです。
え? パーティって多くて六人位じゃないんですか!? これって騎士団の一個小隊規模ですよ!?
そう指摘したら大笑いされました……少し恥ずかしいです。
集団の理由は簡単で、物語の中じゃあるまいし、わざわざ少人数の必要はないという事でした。
加えて、ここには初心者も多いので、その支援も兼ねているそうです。確かに、人は多い方が何かあった時に安心です。助け合いは大事です。
少人数でパーティを組むのは、大人数で行くと全体が把握し辛くなり危険度が増すダンジョン攻略等での場合なのだと、あとでマックさんが教えてくれました。
その際、お前さんも早くそんな立派な冒険者になれよ、と乱暴に頭を撫でられました。……子供扱いしないで欲しいです。
鉱山に入ると一先ず、所定の採掘ポイントへ向かいます。無闇に掘っても駄目だそうです。
採掘場所は一〇〇人程が入ってもまだ余裕がありそうな大空洞でした。
ここから暫く自由行動になるのですが、いくつか諸注意がありました。
・より下層域へは進入禁止。
・コボルドには優しく丁寧に接し、決して怒らせない事。
・コーン、コーンと何かを叩く音が聞こえたら、すぐにこの場所に集まる事。
等です。
コボルドは二足歩行の中型犬の様な亜人種です。大昔は魔物指定種でしたが、今は人間の良き隣人です。
特に鉱山では落盤や爆発等の災害を事前に教えてくれる大変ありがたい存在です。たまに悪戯もするようですが、その辺は御愛敬でしょう。
一人で硬い岩肌と格闘していると、腰の辺りをちょんちょんと小突かれます。驚いて振り向くと一匹のコボルドが私を見上げていました。不思議に思いながらも、小さくお辞儀して作業に戻ります。
再びちょんちょん。……何でしょうね、振り返るとやはり先程のコボルド……。
そういえば腰のポシェットにチーズが入っています。ははぁんと思い、それ手渡すとコボルドは満足そうに口に放り込みました。
食べ終えると、手招きをして歩きだすコボルド……これはついて行くべきですね、冒険の予感がします!!
コボルドは大空洞から少し奥に行った場所で立ち止まり、岩盤のある一点を指さし示します。ここを掘れという事でしょうか?
試しにやってみるとガツンッと今までにない手応え!! 崩れた岩肌からは銀色に輝く鉱石!?
驚いていると、コボルドはニヤリと笑って去って行きました。
これは銀です! 銀! 銀!! 掘るたびに出てくるその鉱石に、私は興奮し続けました。マックさんが呼びに来るまで、ずっと掘り続けていた程です。
こうして私の鉱山デビューは幕を閉じます。
ふふふっ。換金時が楽しみです。
今日の収支
銀鉱石(?)(未鑑定品)
――――――――
残金:銀貨1枚、銅貨40枚
(* ̄∇ ̄*)エヘヘ 大儲けなのです♪
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