第12話 かみさまの、かみさま
あれから、娘が社へ来ることはなかった。
だが宇雅は、毎日決まった時間に境内へ行き、あの娘の姿を探していた。多くの参拝者で賑わう境内を見渡しながら、娘の姿がないとわかると、肩を落として社へ戻って来る。
そんな日が続いたある日。
「主、今日もご機嫌麗しゅう」
高揚したように声をかけてくるセイに若干苦笑いをしつつ、いつも鬼の様に目を光らせているボンの姿が見当たらないことに気付いた。
「おや、ボンちゃんが見当たらないね」
宇雅がその名を口にした途端、ふっと顔色を変えてセイが答えた。
「……ああ、あの方なら、客人がお見えになるとかで、今しがたお出迎えに、」
行かれました、と口にするより早く、そこへボンが客人を連れて現れた。
「主、客人がお見えです」
ボンが後ろに下がると、‟客人”はにこにこと人の良い笑みを浮かべた。
「!」
「やあ、久しいね。宇雅」
「父上!?」
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