#7.5 平坂メイ

私は、人の世を運営するものを『神』と呼ぶ。そして人の世を運営するものとは、人間の群体にほかならない。ならば私の定義する、そして対象とする『神』とは、人間となる。


この三段論法によって導かれる命題は、今の『私』を動かす基本原則だ。

それはさながら、光速度不変の原理のように、私を規定し、制約し、同時にその論理によって道を開くもの。


じゃあ私って?

対象を明確にしたところで、次に必要となるのは主体の在り方、そして成り立ち。


夜方君は私にその成り立ちを話してくれた。そして現在の在り方も話してくれた。けれど卑怯な私は、彼に自分のすべてを明かしてはいない。やっぱりさ、それってフェアじゃないと思うんだよね。

要点だけを知ることと、そのすべてに触れることは自ずとその後の趨勢に影響を及ぼす。勉強も一緒だけどさ。


少しだけ長い話になるよ。それにそれほど面白くもない。

もしかしたらあなたはとてもイヤな気持ちになるかもしれない。


それじゃあ夜方君のことは一旦置いておいて、私の話をするよ。

私がいかにして『私』になったのか。

そのすべて。




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