第27話 自分は何になるのか

大学7年目。

卒業に向けて日々、変わらず大学とバイトをこなしていた。

だが、そんな中でまだ解決していない問題があった。

卒業したあとでどうするのか、将来なにをして生きていくのか...という問題だ。

卒業した後、自分は何になるのか?

どんな仕事をするのか?

いくら考えても、いいものが思い浮かばなかった。


当時の自分と言えば、洋服屋の店員としてそこそこ働けるようになった。

であれば、このまま洋服屋の店員として働くのがいいのではないか?

一時は本気でそのまま洋服屋の店員になることを考えた。

しかし、自分が通っていたのはIT系の大学だ。

だったら、ITの知識を活かすような仕事のほうがいいんじゃないか?

いろいろ考えた。


そんな時、こんな事があった。

わたしのバイト先にて、ケータイを使用した会員サービスが始まったのだ。

ケータイでいろいろと情報を入力し、会員登録する。

その後、その会員ページから会員証やクーポン(QRコード)を表示することで、安く買い物出来たり、お得なキャンペーンに参加できる...というもの。

登録した側から安く買い物できるということで、お客様はこぞって登録しようとする...のだが。

なぜか、みんな登録に苦労する。

やれ、エラーが表示される、何が問題なのか分からない、etc。

また登録できたとしても、次回のお買い物の時に「会員証を出していただけますでしょうか?」とお願いしても、表示させることができない。

ログインができない、パスワードが分からない。

いざログインできたとして、次回はログイン不要なようにスクリーンショットを...と言ってもスクリーンショットの取り方が分からない。

そんなお客様が山のように出てきたのだ。


わたしといえば、IT系の大学に通っていたし、わりと早い時期からスマートフォンを入手して使っていた人間だ。

自分でもその会員サービスを使ってみたが、登録は苦労せず完了した。

また、登録後も...この文章を書いている現在も、この会員サービスを使用しているが、特に使っているうえで苦労することはなかった。

だから、なぜみんな、そんなに登録だの使うだので苦労しているのか、まるで理解できなかった。

そんなわたしなので、働いている時も他のメンバーから「会員登録のお客様の対応をしてくれない?」と依頼されることも多かった。


だけど、しばらくそういったお客様の対応をしていて気づいたことがあった。

みんな、驚くほどITというものに関心がないのだ。

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