第4話 ナイフ

小学生ってのは、実際かわいいもんだ。

言葉にトゲがあったり、大人では言えないような核心をついたような言葉を言うが、特になにかあるわけじゃない。。

殴られても痛くもない。

だが、中学生は違う。


わたしは、中学生ってどんな人種かなと考えたとき、ナイフのような存在だとまっさきに思う。

ただ、そこにあるだけでは何も害はない。

そして、普通に暮らしていると意外とあちこちで見かけるものだ。

だが、時としてそのナイフは誰かを深く刺し、傷をつける。

そのナイフは言葉であったり、暴力であったりもする。

そして、何年経っても、心にその傷跡は残り続けるのだ。

では、そのナイフが刺す対象は誰か?

言わなくとも、スクールカーストの最下層の人間たちだ。

わたしには、中学生の時に刺された数多くのナイフの傷が今でも残り続けている。


ひとつ、今でもよく覚えている。

移動教室から真っ先に帰ってきて、なんとなく教室の後ろの方にいた時。

同じ教室内で「キモいんだよ!」と大きな声で叫ぶ女子の声が聞こえた。

自分に言われたわけではなかった。

だが、その女子は机を蹴飛ばしながら、叫んでいたのだ。

その机の持ち主は...。


その女子は、わたしがいたことに気づかずにそうしたらしく、他のいっしょにいた女子にたしなめられていた。

わたしは、当時のわたし自身がキモいほうだという自覚はあった。

前髪とか、すごい長かったし。

だが、自分がいないところでそうまでされるほど、キモいと思われていた。

そのことがひどくショックだったのを、十数年経った今でもよく覚えている。


他にもある。

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