第3話 コンプレックス
学校にはスクールカーストというものがある。
普段はそこまで意識しないものだけど、ふとした瞬間に、スクールカーストにおける自分の立ち位置を再認識させられるのだ。
自分はといえば、小学校、中学、高校と、いずれもスクールカーストの最下層にいた。
スクールカースト最下層に位置づけられるのは、小学生から確定していたようなものだった。
小学校で何がスクールカーストを決定づけるかと言えば、運動ができるか、そうでないか、その一点に限られる。
運動ができるヤツというのはクラスの中心的存在になるし、女子からの人気も集まるのだ。
あなたも身に覚えはないだろうか。
かくいうわたしは、運動がまるでダメな小学生だった。
50m走では確か8秒ジャストくらい。
当然、クラス最下位だ。
跳び箱は確か6段がなんとか跳べたとか...そんなレベルだったような気がする。
20mシャトルランでは、だいたいクラスで最初に脱落していたと思う。
もし、あなたが運動ができる方の人間だったなら、運動ができるとかできないとか、そんなもの意識しなかったのかもしれない。
スクールカーストというものも意識しなかっただろう。
しかし、運動ができない人間というのは、自分の運動の出来なさ具合に苦悩する。
なぜ、自分は運動ができないのか。
そして、運動ができるかどうかのみで決定づけられるスクールカーストに、絶望するのだ。
運動ができない、かつ他に自信を持てるほど秀でた何かがあるわけではない。
習い事をいくつかしたこともあったが、長く続いた記憶はなかった。
もちろん、得意だとか、人に負けないといったものにはならなかった。
ちなみに、我が家はゲームが一切禁止の家庭だった。
ゲームが禁止だからなんだと思うかもしれないが...あなたが男だったら思い出してほしいのだが、小学生男子の会話やつながりにおいて、ゲームというのはけっこう重要な要素になる。
つまり、ゲームがらみの話になると全然ついて行けなかった。
そんな小学生が、自信なさげで人見知りになるのは必然だったろうな。
そうして、スクールカースト最下層がわたしの定位置になった。
けどまあ、小学生ではスクールカーストの最下層にいたところで、実は大して痛くもかゆくもなかったのだ。
ただ、自分が運動ができないことに悩むだけだから。
得意なものがなくてもそこまで困らないし、ゲームがなかったら人の家で遊ばせてもらえれば、なんとか話についてはいける。
本当の苦しみは、中学に入ってから始まった。
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