「はじめてのおつかい」

「ねんどくん♪ねんどくん♪これ見てよ♪」

僕はえる先生の傍にあるパソコンのモニターを覗き込んだ。


88888888888888888 ありがとう

泣いた 神降臨 マジで乙!おめ 8888

希望の光 88888 よく見るとかわいい

8888 抱いて ねもうす ワシが育てた


「え?これって?」

「リアルタイム!みんなの反応!」

僕が水を運ぶ姿は生中継され、草患者の扱いに悩む全国の医療関係者からたくさんのコメントをもらった。

「ふふっ、希望の光だって♪」

僕の"はじめてのおつかい"は、ただ言われるがままに水を運んだだけなのに、まるで偉大な何かを成し遂げたかのような扱いに、正直戸惑った。

「今日はゆっくり休んでね。お疲れ様♪」

僕は学食で夕食を済ませ、自分のカプセルホテルに戻ろうとした時、一緒にこの施設に集められ、一度も会話の無かった"同期"から初めて声を掛けられた。

「さっきの見たよ…凄いじゃん。」

目立たぬように、はしゃがぬように14年間生きてきた僕が、ちょっとした有名人になってしまった。

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