「カリオカ」

「ふざけんじゃねーよ!!」

刈岡かりおからもは激怒した。

「俺が面白く無い人間代表?意味わかんないんですけど。俺のとーちゃんブラジル人やぞ!FIFAお笑いランキング15年連続1位やぞ!ここにいる奴らとは遺伝子レベルで違うんだよ!ちなみに日本って何位ですか?確か100位以内にも入ったことないですよね?そんな人たちがブラジルの笑いを理解できるんですか?低レベル過ぎて話にならない。帰ります!」

千葉県代表の刈岡らも(16)は顔を紅潮させながらドアをバタンと閉めて出て行った。再び教室に静寂が訪れた。

「あーあ。帰っちゃった。あの子、得票数1位でかなりの有望株だったのに。残念。」

彼を除いた46人でえる先生の講習が始まった。数年前から少女たちの間で笑いが止まらなくなる謎の奇病が蔓延してること。その病気は「草」と呼ばれ空気感染しないが致死率が極めて高いこと。彼女たちは何も無い真っ白な部屋に隔離され、ほぼ寝たきりの生活をしてること。そして僕たちは彼女たちの日常をお世話する介護者見習いとして集められたということ。

「私からの説明は以上です。みなさんの生活はこちらで全面的にサポートしますが、あくまで見習いだということを忘れないでくださいね。それじゃ今日はゆっくり休んで明日の面接でたっぷりお話しましょ♪」

える先生の97センチの尻を見送ると、僕は『候補者見習いのみなさんへ』と書かれたパンフレットをリュックに入れ教室を後にした。これから僕たちが通うことになるお笑い専門学校の壁には、『ブラジル留学全国1位』と赤文字で書かれたポスターがあちこちに貼られていた。

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