「カプセルホテル」

僕たち介護者見習いにはそれぞれ個室のカプセルホテルが与えられ、決められたカリキュラムさえ受ければ基本何をして過ごしても構わない。

「36番…36番…、あ、あった!」

蜂の巣のように並んだカプセルホテルの中から僕は自分の学生番号が書かれた寝床を見つけた。中は思ったより広くて小型のテレビやラジオも備え付けてある。僕は両手両足を伸ばしてバタバタ動かしたり左右に寝転がってみた。どこにぶつかっても痛くないように丸みのある空間に設計してある。

「あれ?家より心地いいかも。」

緊張で節目がちだった1日が終わり思い切り羽を伸ばす。僕はそのままうつ伏せになりさっき貰ったパンフレットを眺めた。この施設の間取りや血糖値を上げないバランスの良い食事などがイラスト付きで書かれてある。

『介護者見習いの受講料は無料です』

僕たちはこれからどうなるのだろう。ここで何日間過ごすことになるのだろう。そんな漠然とした不安をカプセルホテルの繭が優しく包み込んでくれた。

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