「県代表」
47人の自己紹介が終わった。声が小さくて聞き取れない人が多かったけど、全員男性だということは分かった。
「そうだよね。いきなり知らない場所に集められてハキハキ自己紹介できるような人たちじゃないよね。そんな人だったら隣の教室に行ってるか。アハハ!」
僕たちは今、都内にあるお笑い専門学校の教室を間借りして当別講習を受けている。全員無言で静まり返ってるせいか、える先生のチョークの音と、本校に通うお笑いエリートたちの賑やかな笑い声が隣の教室からよく響く。
『あなたより面白くない人を教えてください』
「これは先日、全国規模で行った大規模アンケートです。見覚えあるよね?私たちは"お笑い数珠繋ぎ計画"って呼んでるんだけど、みんなのクチコミを利用して誰が1番面白くないかを探してるの。ぶっちゃけ急募なのよね。少女たちの命がかかってるから。てことで、ここに集められたみなさんは各都道府県から選ばれた1番面白くない人たちでーす。おめでとうございまーす♪」
える先生の拍手と隣の教室の笑い声がよく響く。
「おやおや〜?空気が淀んでますね〜。みなさんは今まで生きてきて何かの県代表になったことありますか?無いよね。これからも無いよきっと。ほとんどの人は県代表にすらなれずに一生を終えるの。それくらい県代表って凄いことなんだよ。どんなジャンルだっていいじゃない。自分が県代表であることに胸を張っていこっ!」
える先生の88センチの胸がバインと張った。
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