第5話 雨女悪魔 その2



使い魔(あれ・・・キロさん・・・なんか様子がおかしいですね。・・・おもいきり悪魔の影響受けてますね。・・・私は悪魔なので影響受けないですけど)




キロ(・・・俺は・・・ダメだ・・・生きている価値がない・・・疲れた・・・)

キロは寒さに震えるようにその場に倒れこんだ。

使い魔「しっかりしてください。」

使い魔が頬をぺちぺち叩いたが反応がない。



何かがキロの足に絡みついている。黒い手のようなものだった。黒い手は何本も伸びてきて、キロに絡みつき、彼の体を森のより深くへと、ゆっくり引きずっていく・・・

声がかすかに聞こえた

「・・・わたしと・・同じ・・・・あなたも・・おなじ・・・・」







キロ(・・・・もう疲れた・・・・なんで・・・こんなことしてたんだっけ?・・・どうしてこの森に来たんだっけ?・・・)







そのとき、昨晩のおばさんの料理が脳裏に浮かんだ。

「こんなものしか出せないけど・・・」

「どうして、俺なんかに・・」

「勝手なお願いかもしれないけど・・・もし娘を見かけたら・・・また、ここを通るときに教えて欲しいんだ。」

「娘さんは・・・」

キロは言いかけた言葉を飲み込んだ。

おばさんは疲れた笑顔でこういった。

「・・・・それでも、あきらめきれないんだ・・・・」






キロは無心で剣を黒い手に突き立てていた。

森全体が震えるような、高い叫び声がこだまする。

黒い手がキロの首を絞めて殺そうとする。キロはその手に剣を突き立てる。

「痛い、痛いよぉおおおおおおおおおおおおお」

無数の手がつめを立てて殺気立つ。

キロは剣を構えなおした。


「俺も・・・まだあきらめてないんだ。」






魔力を抜かれた悪魔は、

柳の木のような人形で、そそくさと逃げていった。

森には少し光が射したような気がしたが、気のせいかもしれない。




$$$





その日の夕刻、娘さんは森の入り口付近で発見される。母親と娘は人目もはばからずわんわん泣いたそうだ。





キロは樹海からぬけられずに迷っていた。

キロ「なあ、ここで死んだらどうなる?」

使い魔「白骨化して、土に戻るだけですよ」

キロ「そうだな」



キロは歩く、

森はどの方向も暗い道が続いている。

キロ「ああ、どっちに行っても、真っ暗闇だな。」

使い魔「まるで、あなたの人生を暗示しているかのような・・・」

キロ「そんなこと言うのはやめろ。」

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