scene2:ミュージック・スタート act2
side:火之迫 小唄
やりたいことがあったけど、家の人には邪魔された。だから家を出た。
だれもが認めるヴォーカリストになるため。あたしの歌を、試すため。あたしが高校を辞めて一人暮らしを始めたことに、それ以外の理由なんてない。
昔からロックが好きだったし、ジャンルとして自分に合ってるから、当然あたしはその道でやっていくつもりだった。というか、本来なら今でもそうしていた。えそらや歌音にも、散々そんな話はしたし。
ましてや演劇なんてものには興味すら無いし、ミュージカルに至っては未だによくわかっていない。だからあたしにこんな所に通う道理はないのだ、本当は。
でも。
あたしはあいつの歌を知ってしまった。
―――
稽古に参加し始めてからつくづく思ってるけど、発声練習ってなんでこんなに色々と意味不明なのか。
「あ」とかを中心のCの音から上げたり下げたりするのはまあ分かるにしても、口の形を変えたり音の飛び方を変えたり、バリエーションが異常に多い。
これをやるのとやらないのとでは喉の調子がまるっきり変わるんだと他の団員たちは言うけど、真面目にやってみたところで何処が変わったんだかさっぱりだった。
「てめえの場合は基礎がメチャクチャすぎるだけだ。練習メニューのせいにするんじゃねえ」
早速文句をつけに行ったらこの返答だ。
「知らないよ、昔からずっとこの歌い方でやってきたんだから。自分流のやり方はこれからも変えるつもりはないし」
「ならてめえにとっての発声練習は一生無駄なままだな。半端な先入観捨ててゼロからうちのやり方についてくる気が無いなら、次の段階の練習にはてめえだけ永遠に参加させねぇぞ」
「先入観? ここのやり方とやらはあたしの今までの努力の積み重ねより価値があるって言いたいわけ?」
「生憎だがここは芸能プロダクションじゃねえんだ、気にいらなきゃ今すぐ出ていっても構わん。徒花に勝ちたくなければ、の話だがな」
「……」
腹立つ。あのおっさん、痛いとこばっかり突いてくる。ムカつくからあの時以来全力で発声練習に参加するようになった。当然、おっさんが別の仕事で来ていない今日みたいな日もだ。
歌音のほうももうすっかり慣れたらしく、プロ志望だというピアノさばきをばっちり披露している。とは言っても、新しく練習する曲がない今は、主にこんな感じの発声の伴奏くらいしかやることがないみたいだが。
「柔軟終わり、筋トレ終わり、発声も終わり……基礎メニューは大体終わっちゃったわねぇ。大ちゃんは今日テレビのお仕事入ってるし、瞳ちゃんも今日は遅れて来るんだったかしら?」
未麗(ダンスの講師だけど、歌と演技に関してはレッスンを受けている身なので普通に呼んでいいと言われた。まあ言われなくてもそうするけど)が水分補給の合間、鏡越しに団員達を見渡しながら言う。彼女の隣にいた徒花高嶺がふと口を開いた。
「瞳さんがいつ来るか分からないし、ただ待っているのも手持ち無沙汰だな。 どうだ未麗、いっそ先にダンスの練習を始めてしまったら?」
「そうねぇ、でもみんな早々に体力使い果たしちゃわないかしら」
と、それをえそらが聞きつける。えそらはカバンから携帯を取り出して、二人の方に向かって掲げた。
「あ! じゃあじゃあ、えそらがひとみんに来る途中アイス買ってくるようにメールで頼んどく!」
「うわーええやんそれ! うちスイカのやつがいい!」
「歌音、あんた踊らないんだから食べる必要ないじゃん……」
あたしが思わず突っ込むと、未麗は飲んでいた水を床に置き直してこっちを振り返った。
「大丈夫よぉ、瞳ちゃん、大ちゃんと違って細かいこと言わない人だから。
みんな聞いたぁ!?暑いけど、瞳ちゃんのアイスのためと思って頑張って! さあ、張り切って次、ダンスいくわよぉー!」
他のみんなもその一声で立ち上がる。休憩は終わりだ。
……というかあたし、まともに歌も習えてないのにダンスにも参加しなきゃダメなんだろうか。
「とりあえず今のところ、新しく教える振りはないのよねぇ。だから身体を慣らす意味で、去年のミュージカルの一幕最後の――花ちゃんのソロからアンサンブルが入るやつね――あれの、バックダンサーの振りをみんなでやってもらいます。 まあでも、入ったばっかりのウタコちゃんとかほかに役が入ってた子は知らないだろうから、まず最初はお手本を見せるわ。去年やった子たちも、一緒におさらいしてちょうだい。
……花ちゃーんッ! 見本でわたしの相手役やってちょうだーいッ!!」
「ああ、勿論だ!」
あんたの目的はこれか。
この二人が付き合っているのも最初のほうに聞いたことだけど、言われなくても誰にでもわかるような驚異のバカップルぶり。先に惚れたのは未麗のほうとみた。舞台にしたって俳優だし一応人気商売なんだろうに、こんなことで大丈夫なのか。関係ないあたしまで謎に心配になる。お似合いのカップルではあるのかもしれないけどね。両方とも頭の中お花畑っぽいし。
「男女で組むパートあるからみんなもペア作ってねー! そうね、ウタコちゃんは……ユウちゃーん? 今だけ男子パートでウタコちゃんと組んでくれるー!?」
「よしきたァ! 任しといて!」
そう威勢よく返事して、何故か嬉しそうにあたしの隣に並ぶ短髪の女――
このへんが演劇ってわからない。同じ人間を別々の、性別まで違う人間(しかも髪を腰まで伸ばした男と、肩にも満たない長さの女だ。両方とも途方もない変人っていうところしか共通点がない)が演じるという詐欺まがいのシステムに、ダブルキャストなんてご立派に名前までついているんだから。ただ、もっとわけがわからないのは、大枚はたいて何回も同じ演目見て、日ごとの違いを見つけて楽しむとかいう金持ちの客の心境なんだけど。
そんなことを考えていたら、《お手本》がもう始まっていた。
「いーい?まず両手をまっすぐ上にー、右・左の順でまっすぐ突き上げて。足は手と同じほうの足をボックスステップで前に出すの。歩くときとは逆だからね! もとの位置にもどってきたら右・左で踏み切ってジャンプ、腕はまっすぐ振り下ろしてしゃがむ。次のカウントですぐ立って、右足を斜め上にキックよ!
よぉーしここまで一緒にやってみて。歌音ちゃん、手拍子でカウントとってくれる?」
「よっしゃあ! いくで!」
いや、ちょ、ちょっと待って。ちょっと待って歌音、あたしまだ覚えてな―――
「5、6、7、8!」
……3、4。 5、6、7、8、 落ち着こう。とにかく前の人に合わせるんだ。
「みんなポイント甘いわよぉ! 実結ちゃん、そこターン気をつけて!」
「はいッ!」
7、8。1、2…… ――凄い。さすがに未麗の動きはわかりやすい。なんとかなってるかも。
「ここ視線集中、タイミング合わせて! 手、隣、前!そうそう! ウタコちゃん表情忘れないで!」
「ひょ、表情?」
なんとか踊りを続けながら鏡を見る。言われてみれば、みんな踊りながら《笑顔》だった。その光景の奥の方には仏頂面のあたしが、この場でダントツに不細工な動きで馬鹿みたいに手足を上下させている。
確認するけど、今のところあたしが未麗に言われたのは「表情気をつけて」だけだ。どう見たって他にもっと突っ込みどころはあるはずなのに、いちばん最初にかける言葉がなんで《表情》? どうせあたしにはまだ出来ないだろうと思ってる? 馬鹿にしてんの?
ちくしょう、負けるもんか。今に見てろ!
「ウタコちゃん、そのポーズあたしと逆……」
「あ」
「いやーそれにしたってビックリしたよね、ウタコちゃん初登場の時は」
小休憩。我ながらびっくりするほどの勢いでペットボトルの水を飲みくだす。一息先に水筒の水を飲み終えて、根古谷由宇が雑にキャップを締めながら、あたし越しにスタッフの女に話しかけた。
「ほんとほんと、あの時の副座長の顔ったら。ぷくくくっ! あーセンパイ、こないだ言ってたガラクシアスさんのDVD、もう買っちゃったんで今度のお稽古持って来ましょーか」
「うっそ、ヒョウちゃん行動早っ!? じゃあありがたく!」
なんていうか、並べて見ればちょっと似た雰囲気の2人だ。単に女っぽくない女同士なだけか。というか、このトークあたしを挟んでやる意味あるの?
「アレ、あの人が出てる日のやつだよね、這原さん!」
「あったりまえじゃないですかー、ベストキャスト版ですよお?
日下部クン、知ってる? Theaterガラクシアスの
ヒョウちゃんと呼ばれた女が、前置きなしにふっとあたしの逆側を振り返った。
「へっ? えーと、ちょっと知らないですね……」
……ああ、いたんだ、こいつ。
正確にはあたしのほんの少し前だけど、ほぼ同時期にここへ入団した冴えない男子。日下部光輝、キラキラした名前のわりにヘタレてていちいち態度が煮え切らない。前にいた学校とか路上やってた時に大概いろんな男は見たけど、ま、ないよね、こういうタイプは。
「また客演しに来てくれるんですかねー、彼」
「ミュージカルの時はいつも参加してくれてるし、今年もそうなんじゃないの?あー、早くまたあのイケメン拝みたいなぁ……。 期待しときなよ、日下部君。もうじき間近で会えるかもしれないから」
「は、はあ……」
ダメだ。ぜんっぜん興味ない。あたしはペットボトルをタオルにくるんで持つと、2人の間から脱出した。人ごみを避けて壁際に思いっきり腰を下ろす。はっ、と息を吐いたところで何気なく隣を見ると、件のヘタレ男と視線がかち合った。
「なに」
「いや。……えーと、火之迫はさ」
あ、こないだの事覚えてたんだ。一番最初の日、1歳年上だからとかいう理由で敬語で話しかけてきたので鼻で笑ってやったのだ。流石のお坊ちゃんもアレは応えたらしい。それでもまだ自信なさげなのがこいつらしいけど。
「『徒花高嶺に勝つ』って言ってたよな。8月公演はミュージカルじゃなかったから……何か別の公演とかで、あの人が歌うの聞いたことあるのか?」
なんでそんなこと訊くのか。まあネタが無かったんだろうけど。こいつも頑張って最後まで普通にタメ語使ったんだ、これくらい答えてあげよう。
「《伝説のゲネプロ》」
「は?」
初めてこのフレーズを聞いたときのあたしと全く同じ反応だった。そりゃそうだ、専門用語だし、しかもそれをさらに違う意味で使ってるし。
ゲネプロっていうのは、芝居の初日直前、本番どおりに最後までやるリハーサルのこと。ここの劇団はゲネプロを一般公開してて、それが終わったあとに、オマケみたいな感じで研修生たち――今のあたしみたいな――の少人数発表をするのがならわし、らしい。この場合、実際に《伝説》なのはゲネプロじゃなくて、そのオマケの三人芝居の方だったというわけ。
「DVD撮ってあるんだ、それ。ちょっとした音楽劇だったんだけど、知り合ったばっかのえそらにいやいや見せられて。こいつに勝たなきゃ死ねないと思った」
「勝たなきゃ死ねないって……なんか、ほんと凄いなお前」
「じゃ、あんたはどうなの」
「えっ?」
ここのところ、ずっとひっかかっていたことだった。
「あんた、スタッフとして入ってきてるんでしょ。人前じゃそれで満足してますみたいな顔してるけど、もともとのあんたの目的はそれだったわけ? 違うなら、いつまでそうしてるつもりなの」
いつもみたいに怖気づいた顔をするのかと思ったら、様子はほんのちょっと違っていた。
今まで全然見えなかったパズルの完成図が、初めてふっと見えたような。ビックリしたというか、はっとしたというか、とにかくそんな顔だった。ゆっくり、あたしから視線を外す。完成図へ近づく次のピースは、どうやらまだ見つかりそうにないらしかった。
「俺が……夢幻座へ来た、目的は」
そう、独り言のように呟いた声は――
「あーあーあー、うん!イケるイケる、弾ける弾ける! なんや折角の機会やん、やろうや二人ぃ!」
今度はえそらじゃなくて、歌音の声に掻き消された。
「本当か!?今すぐ弾いてもらえるのなら、ありがたいが」
「当たり前やん! 今渡した楽譜いきなり弾けーとか、音大じゃいつものことやで!」
「まーっ頼もしい! ねぇ、じゃあ折角だしやりましょうよぉ、花ちゃん!」
やっとまともに伴奏できるやん! と、歌音はめちゃくちゃ嬉しそうだ。鼻息も荒くあぐらを掻き直し、キーボードの設定をいじっている。
「休憩しながらでいいわ。初めての子特に、見てて。さっきのステップ、曲に合わせたらこんな風になるのよ!
……あ、この曲最初はカウント無いんだったっけ。花ちゃん、最初だけ歌って貰ってもいいかしらぁ?」
――がばっ、とあたしは勢いよく顔を上げた。
あいつの歌…!?
「分かった。歌音くん、最低音……ファの音を」
「これ?」 低く、正確に響く電子音。徒花高嶺は心持ち下を向くと、その上にぴったりとFの音を重ねる。
「ああ、ありがとう。 次、一番高い音は…ラ、かな」
「ラ…え、これ?」 3のA……なにそれ、大の男にそんな音域!
目を見開くあたしをよそに、徒花高嶺はスッと目を閉じた。ド、レ、ミ、ファ、ソ…と順に辿っているのか、口の中だけで音階を確認すると、その次に――弾丸1発で、的の真ん中を撃つように。「嘘でしょ……」思わず口からこぼれそうになる、感嘆。
「ありがとう。未麗、私も大丈夫そうだ。
始めようか、歌音くん。最初の和音を鳴らしてくれ」
ぽろん、と音が零れ落ちる。
その音を合図に、俯かせていた顔を正面へ。大きく開いた目、一瞬で呑み込む空気。
「『――まさか本当に受け取ってくれるだなんて!』」 最初の台詞は喜びの悲鳴だった。熱っぽい頬、あふれ出る興奮を隠しきれないとでもいうように、持ち上がった口角。
「『漸くだ、漸くここまで来たんだ。 今夜こそは…』」 歌音の指が軽やかに鍵盤をなぞる。音がだんだんカラフルになる。次の一瞬、ピアノに紛れて微かに息継ぎの音が聞こえて。
「 今夜こそは――」
――――こんな歌い出し、聞いたこと、ない。
歌うように語り、語るように歌う、とか。言葉だけは陳腐で聞き飽きている。でも、実際にやる人間が今まで見てきたあたしの世界の中にどれだけいたか。言葉が、夢見るひとりの男の魂が、直接あたしの胸の中に殴りこんでくる。谷底から突き上げるような、ただただ真っ直ぐな歌声に乗せて。空中でゆっくりと押し広げたその両手の指の隙間から、満天の星空は確かに見えた。
伴奏のピアノは情感たっぷりのアルペジオから、楽しげに跳ねるジャズのリズムへ。男は胸に手を当てて遠く高くを眺めたまま、その音に合わせて歩き始めた。
吸い込まれるような高音、夢心地に誘う低音。時々わざと歌を途切れさせては、台詞調の部分でアクセントをつける。知らない、こんな音楽知らない。どうしてこんなに、気持ちが引っ張られる。
「テンション上がってきたッ! 未麗、このまま続けよう!」 徒花高嶺がそのままの流れで、羽織っていた上着を脱ぎ棄てた。
「え?このままって……まあいいわ、いくわよ!5、6、7、8!」
ジャン!とひと際大きくピアノが鳴れば、ずっとゆっくりだった未麗の動きが突然その存在感を強める。
なんだろう。この人、綺麗だ。今のステップなんて本当になんでもない動きのはずなのに、普通の人間がするのと何処が違うんだろう。指先か、つま先か、背か、腰か、首か、それとも全部か。余裕があるのにきびきびした身のこなし、楽しげで妖しげな微笑。
ここからはさっきあたしたちも練習した男女で絡むパートだ。それぞれで動きが分かれるところは……そうか、未麗はこの形を見せたかったんだ。さすが現役恋人同士、揃えるところも完璧に揃って、
――――ちょっと待って、おかしい。
未麗の動きに無駄は全くない。二人の動きには全くズレがない。なんで……徒花高嶺はまだ歌い続けてるの?
あたしたちはさっきちょっと踊っただけでこんなに息が切れてるのに。ていうか歌を歌うのだって、本気でやろうと思ったら相当体力を使う。テレビに出てる歌手が、歌い終わったあと肩で息をしてるみたいに。しかもアイツの場合、あのファルセットであの声量だ。変わってない。あたしがすっかり気を呑まれた、あの一番最初の歌い出しのときから!
なんて底の見えない体力。それに、何より―――なんて幸せそうに歌うんだろう。
あの徒花高嶺だって、多少の疲れは来てるはずだ。なのに、なんであんなに。ひょっとして俳優だからとか、想定は舞台の上での演技だからとか、言うんだろうか。
「演技なんかじゃないわ」
気が付くとすぐ横に宇多方瞳が立っていた。
「いつからいたの、あんた。ていうか、いきなり心読まないでよ」
「あら、元はといえばあなたが分かり易過ぎるのがいけないのよ」
当然のようにのたまう名女優は、やっぱりいつものように無表情だ。
「……演技、っていう言葉が、彼ほど似合わない役者も珍しいわよね。彼……徒花君は、ただ本当に楽しいからあんな風に歌っているのよ。正確に言えば、彼の中にいる登場人物はになるのだけれど」
自分や自分がなるべきものの気持ちがあれだけ素直に表に出たら、きっととても気持ちがいいんでしょうね。
そう言った鉄の横顔は、気のせいだろうか、ほんの少しだけ淋しそうに見えた。
「はぁーッ疲れたーっ!! やっぱり久々のミュージカルだと体力を使うな!」
「違うわよ。ソロで主旋律歌いながらバックダンサーと同じ踊りをやったら、そりゃ疲れるに決まってるでしょう」
「…あ。忘れてた」
「忘れてたの!? もーぉ、花ちゃんってばうっかりさんなんだからぁ」
隣では日下部光輝が、突っ込みを入れたそうな顔で口をぱくぱく動かしている。
「はいはい続きはお家でやってちょうだい。 そうそう、風巻君から伝言よ。来週の今日に1月のミュージカルと研修生公演についてのミーティングをするから、来れるメンバーは出来るだけ来るようにって。2人、例の知り合いさんたちにも声をかけておいてね」
「はい!」
「オッケーよ!」
メンバーそれぞれの返事に軽く頷き、宇多方瞳は大きなビニール袋を稽古場のど真ん中にでんと置いた。
「ともあれみんな、未麗ちゃん、お疲れ様。次のエチュードからは私が見るわ。
じゃあこれ、休憩の締めにでも。はい、ありがたく食べてちょうだい」
「おおーっ!!」
団員たちが袋めがけてなだれこむ。床に手をつこうとすると、持っていたペットボトルがへこんでいるのに気が付いた。
恐れじゃない。これは、戦いの意思表示。
勢いよく床に突き立てて、あたしもその渦の中に飛び込んだ。
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