挨拶 1-10
村に突入後、近くにいた強奪者たちは一振りによって地面に倒れた。
二十三人は散らばって対処を開始する。
ヘンリとリーシャは村の中心を目指して馬を進める。
その間も処罰は続く。路上や家の影などから出てくる敵を、二人は止まることなく地面に沈めていった。
「不気味だ」
「どうしました?」
ヘンリは先程までの敵の様子を覚えていた。
「こっちに向かってくるにしても、倒されるときでも声が聴こえない」
「やはり、普通の者どもではないようですね。恐怖も感じられませんでした」
二人、馬をそろえて進んでいると、新たに敵がヘンリたちの前に出てくる。それをヘンリが対処しようとすると、敵はヘンリが近づく前に路地に入って行った。
二人は馬を止める。
「これって、罠かな」
「罠の確率が高いと思います。でも、ここで逃したら、他の者と当たることになります」
「それだけは阻止しないとな」
馬を路地に進める。
そこまで通路は広くなく、馬を二頭並べることが出来ない。
ヘンリを先頭に進んでいくと、広い空間に出た。後ろにいたリーシャは、ヘンリが路地を抜けたときの変化を見逃さなかった。
「どうしたのですか? 敵がいましたか?」
その解答に、ヘンリの苦笑いと言葉がリーシャに向けられた。
「敵はいたけど・・・・・・」
「いたけど?」
「増えているね」
リーシャは馬を下りて、ヘンリの横に移動する。
先には十五人近くの敵が待っていた。
武具は・・・・・・しっかりと
「どうする、リーシャ」
「・・・・・・どうにかするしかないですね」
今度は、二人で苦笑いだ。
しかし、圧倒的に敵が多すぎた。敵は、小さくも一歩一歩進んでくる。
ヘンリたちも、場面的にしたら一歩一歩下がるところだが、他のところに敵を行かせないように通路を塞がなければいけなかった。
しかし、ヘンリとしてはお手上げ状態だった。
そんな時、ヘンリの馬の横にいたリーシャは前に出た。
「おい、リーシャ!?」
「ヘンリはそこから動かないでください。巻き込んでしまうかもしれないので」
そう言ったリーシャは敵と見合う。
そして唱える。
「我、この地において手にする君を今、呼ぶ!」
リーシャの手に箱が出てきた。そして、箱の蓋に手をやり、剣を取り出す。
周りに炎が広がった。
リーシャは笑みを顔につくる。
「さあ、始めましょうか」
そう言って、彼女は前に進み出る。
そこまでの一部始終を見ていた敵の一人が声をつくった。
「炎の剣。まさか」
一人はそこまで言うと、止まってしまった。
そして、代わりにと言うかのように他の者が言った。
「こ、こいつ・・・・・・ヒベス地方のエアベリーシャか」
「はい。あなたたちの前にいる私が、エアベリーシャ・クラスト・フィベルです」
それを聴いた瞬間、敵の一部が持っていた武器を手放したのをヘンリは見ていた。
「勝てるわけがない」
最初に声を出した者は、地面に座り込んでしまっていた。
ヘンリとしては、その光景が不思議だった。
(こいつらに恐れられるほど、凄かったのか、リーシャは)
そんなことを考えていると、リーシャから言葉が飛んでくる。
「ヘンリ。何か、失礼なことは思ったりしてませんよね」
冷や汗・・・・・・。
「な・・・・・・ないないない」
「そうですか」
リーシャは再び敵を見る。
ヘンリとしては、気の置けない瞬間となった。
ヘンリも敵に視線を戻す。
一部が
敵の指揮官だと思われる者が叫ぶ。
「何を恐れている!敵が強いからと諦めることはない!」
彼は、一番にリーシャに駆け寄っていく。
持つ剣は幅が広く、屈強な男にはお似合いなほどの物だ。
防ごうとすれば、重さで負ける。
男がリーシャに近づいていく中で、彼女は・・・・・・動かなかった。
男はいよいよリーシャの前に到着して、大きく剣を振り上げる。
(危ない!)
ヘンリは馬を前に進めようとした。
その時、リーシャの周りに炎の渦が出来た。それは、リーシャと彼女の前にいる敵の男を巻き込むほどで、一瞬にして二人の姿が見えなくなった。
熱気がヘンリにも届く。
(熱い・・・!)
馬も暴れだしそうで、どうにか抑えている状態。
敵に至っては・・・炎の先で見ることが出来ない。
(中で何が起こっているんだ!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます