ほらぱろ

放浪のメリーさん

━━これは、ふしぎなふしぎな『メリーさん』のお話


ある日、スマホの着信がなる。今は少ない『公衆電話』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今、にいるの。ぷつっ』


イタズラ電話だろうか?


またある日、スマホの着信がなる。『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今、にいるの。ぷつっ』


意味不明な内容だ。


またある日、スマホの着信がなる。『知らない番号』から。番号から推測すると、東北方面らしい。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今……』


『ご両親出た?代わって。もしもし?お宅の……ぷつっ』


こ、交番?メリーさん、補導された?


またある日、スマホの着信がなる。『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん……。どこにいるかわからないの……。何だか檻みたいなとこで、床が冷たくて、暗いとこにいるの……。しくしくしくしく……ぷつっ』


……メリーさん、捕まった?!何故?!


またある日、スマホの着信がなる。また『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今、にいるの。ぷつっ』


確かに背後から、船らしき音がした……。


またある日、スマホの着信がなる。『公衆電話』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今……』


焼けたでなー!ぷつっ』


……メリーさん、なにしてんの??


またある日、スマホの着信がなる。『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今…………ぷつっ』


……周りの喧騒に掻き消された?


またある日、スマホの着信がなる。また『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今……ぷつっ』


今度は列車の音に掻き消された……。


またある日、スマホの着信がなる。『知らない番号』から。出てみると……。


『……もしもし、あたしメリーさん。今……』


『夕飯食べていきんさい!ぷつっ』


またどこかにお邪魔しているらしい。


またある日、スマホの着信がなる。慣れてきた『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今……』


『ちょっと君、いくつ?お父さんかお母……ぷつっ』


また補導されそうになって逃げた?


またある日、スマホの着信がなる。『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今、にいるの。ぷつっ』


……旅でもしているんだろうか。


またある日、スマホの着信がなる。『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今、にいるの。ぷつっ』


………どこの??


数分後、またスマホがなる。『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今、の前にいるの。ぷつっ』


……だから、どこの??


また数分後、スマホがなる。『非通知設定』から。出てみると……。


『もしもし、あたしメリーさん。今、にいるの。ぷつっ』


…………え?


一分後、また着信がなる。『非通知設定』から。出るのを躊躇っていると……。


「もしもし、あたしメリーさん。今、にいるの。ぷつっ」


ぷつっまでご丁寧に言った少女が目の前で笑っていた……………。


Fin


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ホラー短編集 姫宮未調 @idumi34

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