温み(彼の場合)

 食べ終わって、帰ろうとすると店主である純さんからいつか会って欲しいと言われる。

都さんが笑って承諾するので驚いて、確認する。

都さんは「目的地までの癒やしになりますよ。きっと。」と笑顔をみせた。

 家に帰って町を出る準備をする。都さんが彼女の家に帰っている間に森下の不正と

その上司の関係について証拠をまとめていた。

証拠となりそうなものはきちんとつかんでいたのだ。

さすがに突然の解雇には対処できなかったが、やはり何もせずに逃げるのは嫌だった。

都さんの凜とした雰囲気に影響されたのかもしれないなぁ・・・と苦笑いする。

「お先にお湯、いただきました。」

突然、後ろから声がかかる。

「都さん。ついに明日だよ。僕は都さんと一緒に居られて幸せだよ。」

ほほえんで言う。

「私も幸せですよ。優都さん。」

都さんは僕を後ろから抱きしめた。

「ちょっ・・・都さん!?何してるの?」

「さみしそうなのだもの。・・・ても・・・・のよ・・・ね?」

都さんが何を言ったか聞き取れなかった。

それでも、こんなにも温かみのある行動は今まで知らなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

都巡り -旅路- 牡丹一華 @anemone01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ