4月29日 砂嵐

 今日は砂嵐にあった。

 これでは探索どころではない。

 丸一日、岩場の影で過ごす他なかった。

 犬と二人、大きな布をかぶり、目を鼻と口を閉じて。


 砂嵐は定期的に訪れる。

 基本的には半日から一日ほどで過ぎ去るが、時として数日続く。

 期間を判別する術は無いが、今までの経験からすると、この砂嵐は明日にはやむだろう。


 砂嵐はこの砂漠に住む生物全てにとっての災害だ。

 どんな凶悪な生物でも、どんな小さく弱い生物でも、砂嵐に遭えば、今の私のように縮こまるしかない。

 だが、最も安全な時間といえる。

 砂嵐の中で動く生物がいないのだから、警戒する必要もないのだ。


 久しぶりにリラックスした気分になる。

 犬と二人、身を寄せあって縮こまりつつ、水を舐め、食事を取る。

 この日誌を書き終えたら、今日はもう眠ってしまおう。


 砂嵐が止んだ後、大抵の生物は動きを止める。

 布を持たない彼らは、砂嵐の間、食事を取ることも、水を飲むことも出来ない。

 長く続けば続くほど、体力を消耗する。

 体力がある程度回復し次第、すぐに食料と水を探しに動き出すが、すぐではない。


 一方、布で体を覆える私は、体力が温存できる。

 夜までの間に砂嵐が止めば、夜の内に動くのがいいだろう。


 今日の日誌はここまでとする。

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