第6話

「ふぁ~」


 魔王選抜を終わらせた二日後、正式に次期魔王となった俺は魔王城の玉座に腰かけていた。

 魔王城はその名の通り、先代魔王が世界を支配するための拠点とし、そして、勇者に敗れ去った場所。魔界と呼ばれる特殊な世界にあり、魔界は俺たちのいる世界とは別の空間に存在している。

 俺達の世界から魔界へ行くにはそれ専用の入口が存在するらしいんだが、俺とラグエル、スラ公は先代魔王の魔術で選抜会場から直接魔王城へと連れてこられた。一応ただの生首じゃないってことだな。

 モンスターを統べる魔王の根城というだけあって、魔王城の見た目は中々におどろおどろしい。どんな材質かはわからないが、一面黒い石で構成された城壁は見る者に威圧感を与えるし、その城を囲む堀は、何やら血のように赤い水で満たされている。城門はゴーレムが優に通れるほどの大きさだった。

 そして、中はかなりの広さがあり、部屋は何室もあって、どの部屋も俺の実家の自分の部屋よりも広かった。特に広いのは謁見の間と言われる城の中心に位置する場所で、吹き抜けの天井はゴーレムが二体積み重なっても届かないほど高く、中央からまっすぐ奥まで伸びた赤い絨毯の先には玉座が鎮座して、俺は今、その玉座に座っているというわけだ。


「んで、なんで俺はこんな所に呼び出されたわけよ?」

「昨日魔王様が言ってたじゃないっすか。ここの城の人たちの紹介があるからって」


 俺の足元でスラ公が呆れたようにため息をついた。


「にしたって早すぎだろ。まだ八時くらいか?俺、いつもは十時近くまで寝てんだけど」


 不思議なもんで、魔界にも朝と夜という概念があった。少しくすんではいるものの、空は青いし、太陽もある。反対に、夜はとても澄んだ黒で、星が良く見えていた。おそらく時間の概念は俺の世界と同じような感じなのだろう。

 

「そもそも、昨日顔合わせするはずだったのに、ゲドさんがどうしても嫌だって言うから一日開けたんすからね?部屋から出てこないで一日中ゴロゴロしてたから城の人とは誰とも顔合わせてないし。しかもなんすかその恰好?」

「あぁ?俺のパジャマに文句あんのか?」


 俺は今、水色の縦じまストライプのパジャマに身を包んだまま玉座に座っている。


「アンタね、普通、他人に会う時はそれ相応の恰好してくるでしょ。ましてや、もう魔王なんすよ?部屋に専用の衣装あったでしょ?」

「窮屈なんだよ、アレ。やれ『冥王のマント』だ、『支配者の杖』だって、んなもん一々持ち歩いてられるかっての」

「支配者というのはそれ相応の品格も求められるものだ。それに、主として配下のことは知っておいた方が良いぞゲド殿」


 身なりをきちんと整えたラグエルは玉座の左側に立ち、こっちを振り返っている。


「仕方ねぇだろ。めんどくさいことは嫌いなんだよ」

「そうやって嫌なことから逃げ続けてるとロクなことないっすよ?」

「っへ、それが今じゃ魔王様だからな?」

「――世の中間違ってるっす」


「そろってるな」


「魔王様!」

「おはようございます、魔王様」


 いつもの通り、シャドーに抱えられながら、生首魔王がその姿を現した。


「おいおい、わしはもう魔王じゃない。お前らの隣にいるのが魔王だぞ」

「隠居した年寄りみたいなこと言ってんじゃねぇよ。んで、その後ろにいるのが紹介したい奴らか?」


 何人かの人影がシャドーの後に続いていた。

 俺が視線を送ると、それに合わせたかのように後ろの人影たちがそれぞれ前に出て、俺達の前に横一列に整列する。


「それでは紹介しよう。まず、一番左のこの者は」


 生首魔王の声に応えるように一歩前に出たその人物は黒いスーツに足元は黒い革靴と、全身黒で固めている。視線を段々と上げて行けば、まるで天井から吊るしているかのように姿勢も良く、だがその顔は人間のそれではなかった。

 人とかけ離れた骨格に光沢のある銀の肌、その目は曇りなく真っ直ぐにこちらを見つめている。

 俺はこの姿を知っている。いや、知っているなんてもんじゃない、とても慣れ親しんだその姿、俺は言わないわけにはいかなかった。


「サバじゃん!」


 銀に輝くその素肌は光を反射してとても美味しそうに見える。頭から首にかけて伸びた背びれはどんな荒波でも超えていきそうだ。曇りの無い目はまるでつい先ほど海から揚げてきたかのようで鮮度抜群。

 そう、俺の目の前に現れたのはスーツに身を包んだとても新鮮なサバだった。


「よく分かったな。サバスチャンはサバの半魚人だ」

「サバスチャン!?」


 まんま過ぎるだろ!?


「サバスチャンはわしの代からこの城を任せている執事だ。その技術は折り紙つきだぞ」

「恐れ入ります」


 生首魔王の言葉に深々と頭を下げるサバスチャンの身のこなしは、なるほど、とても堂に入っている。

 ――と、なぜか俺の隣にいたラグエルがざわめきだした。


「サバスチャン……あのサバスチャン殿か!?」

「知ってんのかラグエル?」

「もちろんだ!南の大陸ギドの武人“銀弾のサバスチャン”と言えば、武を志す者で耳にしない者はいない」

「え?なに?銀……なんだって?」

「銀弾のサバスチャンだ!まるで弾丸のようなその拳と、その軌跡に舞う銀の光からそう呼ばれているんだ。その光の正体は武人としての魂が漏れ出ていると言われている」

「いや、青魚だからだろ」

「ご存じサバスチャン殿と言えば、最も有名なのはカーレイ高原の決闘だが」


 いや、知らねぇよ。てか、カレイにサバって……。


「私としてはキチン谷の一戦も捨てがたい」

「え?チキン?」

「キチンだ!常識だろう!?」


 どこの常識だよ!魚で統一しろ!紛らわしい。

 てか、こいつはなんでこんなにテンション高いんだ!?


「新たな主の側近であるラグエル様にまで覚えて頂いているとは、光栄です」

「こちらこそあなたと見えることが出来るとは、思わぬ幸運です。機会があればぜひ手合せいただき、己の糧とさせていただきたい」

「私などまだまだですよ。それこそ先代様には手も足も出ませんでした」

「そりゃ魚だしな」


 すげぇ丁寧に挨拶してるはずなんだが、金髪イケメンとサバスーツって絵面がギャグにしか見えねぇんだよなぁ。


「魔王様、新たな主である貴方様に絶対の忠誠を誓います」

「ちょっと待て」


 深々と頭を下げるサバスチャンを俺は手で制止した。突然の俺の言葉にも目の前の執事は動じることなく対応してくる。

 俺はそんな従順な執事が顔を上げ終わると、スラ公達に伝えたあの初めての命令を繰り返した。


「この二人にも言ったけど、俺のことは魔王って呼ぶな。あと、敬語もいらん。他の奴も覚えといてくれ」


 俺は名前すら知らない他の奴等へも視線を送りながら伝えた。

 一々矯正してたらキリがないしな。


「仰せのままに。しかし、敬語については私のこだわり故、どうかお許しいただければ」

「ん。まあ、そういうことなら別にいいよ」

「寛大なご配慮、誠にありがとうございます」


 サバスチャンが再び深々と頭を下げる。

 その馬鹿丁寧なのも何とかしてもらいたいんだが……まあいいか。


「さて、では次だ」


 生首魔王に促され、次の影が前に出る。


「彼女はエルピナ、サバスチャンと同じく家事でこの城を支えてくれている、ゴルゴンのメイド長だ」

「ゴルゴン……」


 確か蛇の髪を持ってて、その目を見た奴は石になっちまうとかいうやつだったっけか。ロングのメイド服の前で品良く手を重ね合わせて立ってるその姿は、パッと見人間のお姉ちゃんだ。年は二十代後半、鼻がスッと通ってて、結構美人だと思う。

 思うってのは、顔の大事な部分が見えないからだ。その部分ってのは目で、黒い帯が横一文字に覆い隠しちまってるせいで、瞳どころか眉毛も見えない。

 あと、頭にたくさん蛇が混じってんだよなぁ。


「初めましてゲド様。ゴルゴンのエルピナと申します。サバスチャンと同様、私も敬語にて失礼いたします」

「ああ。で、その目は?」


 俺は最も気になる疑問をぶつけてみた。

 頭の蛇も気になるんだが、それよりも両目の帯が気になる。

 

「ご存知かと存じますが我らゴルゴンの一族は呪いの目を持っております。ゴルゴンの一族のみであれば差支えもありませんが、ここではそうもまいりません。なので、このような布で覆う形で失礼させていただいております」

「そっか」


 見た目はそれなり、いや、かなり美人の部類に入るかと思うからできれば目も見せてもらいたいと思うんだが、もし見れば石になっちまうだろうし、そこはグッと堪えることにした。

 それと、頭の蛇がチラチラとこっちを見ているのも気になる。


「この者たちは私の目の代わりを務めておりますが、ご気分を害されたなら申し訳ございません」

「大丈夫大丈夫、シャンプーとかどうすんのかなって思っただけだから」

「は?」

「いや、なんでもない。おい生首!次いこう次!」

「生首って貴様……。まあいい、次はエルピナと同じメイドで――」


 生首魔王の言葉を待たず、その二つ・・の影は飛び出した。


「初めましてゲド様!アタシはイリナ!んで、こっちが妹のエレナ!」


 イリナと名乗った見るからに元気な少女のメイド服は、エルピナと違い短い丈のものだった。袖は二の腕くらいまでしかなく、スカートは太ももくらいまで、エルピナが気品を重んじるメイド服だとすれば、この娘のは動きやすさ重視って所か。

 髪型はショートの黒髪に正面から見て左側に一筋の青髪が混じっている。右目だけに着けた黒の眼帯も気になったが俺が一番気になったのは頭のてっぺんから生えた猫のような耳だった。


「お、お姉ちゃん、引っ張らないで……あ、あの、始めまして、エレナ……です」


 イリナに引っ張られて前に出ながらモジモジと声を出した少女もやはりメイド服だった。

 こっちはエルピナと同じロングのスカートに、ショートの黒髪で正面から見て右側に一房の青い髪、左目に着けた黒の眼帯に、やはり猫耳という姿。

 二人とも見た目十四、五なんだが、モンスターなので見た目通りの年齢とは限らない。よく似てるし、おそらく双子なんだろう。


「イリナ!先代様が話さられていたでしょ!それにゲド様にも失礼です!」


 イリナの頭にげんこつが落ちる。その拳の主はゴルゴンのメイド、エルピナだった。


「イッタイ!だ、だって姉さま!ゲド様が敬語使わなくて良いって言ったんだよ!?」

「お、お姉ちゃん、それは気を使って言ってくれただけであって、そう言われても最初は敬語の方が……。それに、先代様の言葉を遮って良い理由にはなっていないと思う……」


 控えめではあるがエレナが的確な指摘をする。お転婆な姉と控えめな妹、どうやら見た目通りの役回りらしい。


「ん~、別に気を使ったってわけじゃないし。てか、その生首には気使わなくていいから」

「おい貴様!?」

「先代様へのことは置いておいて、敬語は気にすることじゃないっす。この人に他人に気を使うような心配りが出来るわけがない――核は踏まないで!」

「それより、姉さまって?」


 俺はスライムの核を足でぐりぐりと踏みつけながら尋ねた。

 イリナ達とエルピナはとてもじゃないが同じ種族とは思えない。義理の姉妹ってやつなのか?


「これは失礼いたしました。実は、イリナとエレナは私の腹違いの妹なのです。私は両親ともゴルゴンですが、母は私を産んでしばらくして亡くなってしまい、それから父が再婚したのが彼女たちの母親である猫人ウェアキャットだったのです」

「ウェアキャット?」

「猫人間、とでも申しましょうか、ほぼ人間台の、二足歩行し、喋る猫です。他にも狼のウェアウルフというのもおります」

「へ~」


 魔王選抜の時に審判を務めていたのはウェアウルフという種族だったのか。

 じゃあ受付のアレはウェアモグラ?


「ウェアモグラってのはいないっすよ?」

「――ッ!なんで考えてること分かったスラ公?」

「なんとなく」

「にしても、モンスターって他種族同士でも結婚できるのか。てことは、もしかしてその眼帯は?」

「これは姉さまと同じ目なんだ!見ちゃったらゲド様も石になっちゃうよ?」


 いたずらっぽく笑うイリナだが、その頭上に再びげんこつが待機していることには気付いてない。


「お、お姉ちゃん、嘘ついちゃダメ。私たちのはそこまで強くないから、せいぜい半日動けなくなるぐらい……」


 それでも十分に脅威だ。眼帯の奥を見せてもらうのはどうやら止めておいた方が良いらしい。


「さて、では最後だ。この城の厨房責任者、ボーンナイトのガッドだ」

「ゲドサマ、ヨロシク」

「お、おう」


 ボーンナイトという種族はよく分からないが、名前からしておそらく騎士の部類なんだろう。だが今、目の前にいるのは兜の代わりにコック帽、鎧の代わりにエプロンに身を包んだ人骨だった。

 声の低さから判断するにおそらく男なんだが……サバスチャンの時も中々衝撃的なビジュアルだったが、今回も相当なもんだ。

 なぜこの城の男性陣――と言っていいかは分からないが――はこうも見た目が強烈なんだろう?


「ゲドサマ、ニクハスキカ?」

「あ?あぁ、好き、かな」


 なんだ突然?


「ワカッタ。キョウハウデニヨリヲカケテツクル。チョウドオオトカゲノイイニクガテニハイッタトコロダ」

「お、おう。ありがと」


 なんかよく分からんが歓迎されてるらしい。骨が包丁片手に肉を切っている姿なんて想像しただけでホラーでしかないんだが、昨日部屋に運ばれてきた食事から判断するに腕は相当良いんだよなぁ。


「これでこの城の者は全て紹介したな。さて、それではゲドよ、魔王としての責務を果たしてもらうとしようか」


 生首魔王が瓶の中からこっちに向き直る。

 真面目な顔がこれからめんどくさい話が来ることを予感させるんだが……。


「めんどくさいから明日からじゃダメか?」

「ダメだ」

「じゃあ、ラグエル、スラ公、代わりに聞いといて」

「ダメだ」「ダメっす」


 ちくしょう。俺の側近は冷たすぎるぜ。

 俺は新しく紹介された仲間たちに助けを求める視線を送るが、奴らはただ真っ直ぐにこっちを見返してくるだけだった。こうなってくると、流石に話を聞かないわけにもいかないか。


「わ~ったよ。で、何すんだ?」

「サバスチャン、説明を」


 生首魔王の言葉に従い、サバスチャンが胸ポケットから何やら小さい紙を取り出した。


「ゲド様には我らの今後の指針を決めて頂きます。具体的には人間たちへの侵攻の手筈や方針などになります。これに関しては側近であらせられるラグエル様とスライム様のご意見も参考にしていただければと存じます」


 参考と言われた時点でラグエルの方へ視線を向けたが、すでに真意を見抜かれたのか首を横に振られてしまった。

 ――ちっ、押し付けようと思ったのに。


「決めろって言われても、何していいか分からねぇんだけど?」

「てかゲドさん、改めて言うのもなんなんですけど、良いんすか?」

「何が?」

「だから、人間を敵に回すってことは、ゲドさんの知り合いとかも敵になるってことっすよ?大丈夫なんすか?」

「は?問題ねぇよ。邪魔する奴は誰だろうと叩き潰す。家族だろうと知り合いだろうと俺の邪魔する奴は許さん」


 何を心配してんだこのスラ公は?


「心配するだけ無駄だった、いや、逆に心配になってきたっす」


 スラ公の言っている意味がよく分からんが、なんだか馬鹿にされてる気がするな。


「だが、我々もこのような大役を任されるのは初めてだ。先代様達はどのようにやられていたのですか?」

「わしか?そうだな、まずは各所の宝箱の設置についてだ。その場所に勇者が訪れた時の強さに見合った装備や金を隠さなければいかん。次に、モンスターの配置だ。これも宝箱同様、その場所に勇者が訪れた時の強さを考慮せねばならん。強くし過ぎて勇者が全滅しては元も子もない。何とか頑張れば倒せるギリギリのラインで配置するのだ」

「なんで?」

 

 ごく当たり前のように言ってるけど意味が分からない。なぜ敵の勇者が全滅しないように配慮するのだろう。


「分からんか?そうすれば勇者は強くなり、ここに来るころには強者となっているだろう?」

「え?なんでそんなことやってんの?」


 敵が強くなってる?ますます意味が分からないんだが?


「ふ、愚問だな。弱い相手を倒しても何も面白くないだろうが」

「――おい、そのおっさんの瓶貸してくれ。叩き割る」


 俺は立ち上がり、生首魔王の収まった瓶を叩き割るために一歩前へ出た。


「ちょ!ゲドさん!?」

「止めんなスラ公、今、諸悪の根源を排除する」


 俺は本気だった。あと一歩で生首魔王の首が入っている瓶に手が届きそうだったんだが、ラグエルに両肩を掴まれ、スライムに足を絡め取られて止められちまった。


「何するんだ貴様!?」

「黙れこのダメ首が!お前らの目的はなんだ!?」

「決まっているだろうが!世界を手中に収めることだ!」

「だったらなんでそんな生っちょろいことしてんだよ?」

「ふ、それは強者としての矜持が――わぁぁぁ!止めろ!瓶に触るんじゃない!」


 ラグエル達の制止すら振り切って俺は瓶をシャドーから奪い取る寸前だった。

 もうダメだ。我慢できん。


「バカ野郎!何が強者としての矜持だ!?そういうことは勇者に勝ってから言えザコ首が!」


 余裕をコイていいのは強い奴だけだ。負けてる方がやったらただの馬鹿だろうが。


「いいか?お前らの敗因はな、その考えの甘さにあるんだよ。強者としての矜持?そんなもん今すぐ捨てろ。相手が強くなるようなことするなんて愚の骨頂だ。利用できるものは何でも利用しろ。どんな非道な手でも使いまくれ。徹底的に弱らせて、そんで弱点を突く、それくらいやってみせろ!」

「し、しかし、どうするのだゲド殿?」


 よくぞ聞いてくれたラグエル!

 俺はパジャマの袖を高々と上げて宣言した。


「第一に宝箱の廃止。装備も金も絶対にダンジョンに置くな。1ゴールドも勇者の手に渡らないようにしろ。だからモンスター共にも金持たせるなよ?倒されて落としたなんてことになったら意味がない」


 まずは相手の資金源を断つ。装備の準備に宿泊費など旅をするにはまず先立つものがないと始まらないからな。それを枯渇させる。


「次に、うちで一番強いモンスターを勇者がいるところに差し向けろ、まだそこまで強くなってないだろうからな、今なら簡単に潰せる」

「うわ、悪い顔してる」


 褒めるなよスラ公。


「それと最後に、人間どもの全村、町に行って教会を潰して神父を攫って来い」

「神父を?なぜそんなことを?」

「知らないのかラグエル?死んだ仲間を生き返らせる主な手段は教会しかないんだぜ?」

「な!なんと!」


 それくらい常識だろうラグエルよ?

 あ、それと忘れちゃいけない用事があった。


「ついでにシスターも連れてきてくれ!若い奴だぞ?ババアはいらん!」

「やはりそれも勇者対策なのか!?」

「いや、俺の趣味だ」


 一回でいいからかわいいシスター侍らしてみたかったんだよね。

 包容力っていうの?あの独特の雰囲気がたまらんよな。「いけません、神が見ておられます」ってか?ぐふふ。


「あ、今度はゲスの顔してる」


「わかったかラグエル?」

「あ、あぁ」


 ラグエルは眉間に皺を寄せて考え込んじまった。おそらく俺が言った意味を考えてるんだろうが、その頭の固さじゃいつまで経っても理解できないぜ、ラグエル君?


「酒場を潰して仲間集められなくするのも考えたけどな、返り討ちに遭うかもしれないし、それなら復活できないようにした方が良い。教会は潰して、念のため神父も攫って来れば、死んだ仲間を生き返らせる手段はほぼ無しだ。ついでに呪いとかも解けなくなるぞ。ケケケケケケ」


 完璧だ。完璧な作戦だ。


「敵に回すと恐ろしいが、味方に回すとこれほど頼りなる男もいないな」

「素晴らしい作戦です、ゲド様」

「流石新しき魔王様……」

「これが、わし等に足りなかったものか」

「ゲド様かっけぇ!」

「凄い……ゲド様……」

「ユウシャノニクデリョウリデキルヒモチカイナ」

「シスターの件が無けりゃ素直に感心したんすけどねぇ」


 途中ちょっと引っかかる言葉もあったが、概ね俺のことを評価する言葉が並んだ。

 いや~、本気出しすぎたかな?


「ゲド殿。素晴らしい知略だな。恐れ入った。しかし、一体どこでそのような知識を?」

「ん?当然だろ、だって俺勇者志望だったし。いろいろ勉強したさ」


 俺は改めて玉座に座りなおすと、肘掛けに肩肘ついてラグエルに視線を向けた。


「はぁ!?ゲドさんが勇者志望!?クズ野郎の分際で――いたい~、核は止めて~」

「勇者なんて最高だろうが。めんどくせぇ戦闘はパーティーのメンバーに任せておきゃいいし、魔王たおせりゃ一生安泰だぞ。毎日家事手伝いするより百倍楽だ」


 仲間を集めちまえば後は自分はなんもしなくて良い。しかも勇者って肩書があればどこ行ってもチヤホヤされるしな。馬鹿らしくて真面目になんて働いてられねぇよ。


「やっぱしそういう理由っすか。もしかして、今むちゃくちゃ意見出してるのも?」

「楽するために決まってんだろうが。そもそも勇者が死ねば俺働かなくて良いんだから」


 俺は楽するためならどんな努力も惜しまないのだ。


「よかった。環境変わった位でこの人のクズっぷりは変わってなかったわ」

「そういえば魔王選抜の時に俺と戦った、死神だっけ?アイツどうなった?勇者の所に行ったんだろ?もう帰ってきた?」


 今思い出してみると、あの時の戦いが一番命の危機に瀕してたと思う。あんな強力な奴に襲われたら勇者でもかなりヤバいんじゃないか?


「そ、それが……」


 さっきまできびきびとしていたサバスチャンが言い淀んだ。

 なんだかすげぇ嫌な予感がするんだが?


「実は昨日遅く、死神が戦果を報告するためにこの城を訪れまして、その時の姿はもう、見るも無残なものでした……」

「そんなに酷かったのか?」

「はい、うわ言のように『お家に帰りたい。お家に帰りたい』と呟いて、何があったのか訊ねても怯えて言葉にならず……」


 うわ言の方は置いておくにしても、あの死神を返り討ちにするとは、シャーリーにそれほどの実力があっただろうか。

 ――いや、ないな。

 アイツは泣き虫で、子供の頃はよく俺がいじめて泣かせてちまったんだ。そんなアイツが死神を返り討ちにしたってのは納得いかないな。もしかして、勇者の剣ってそんなに強力な武器だったのか。

 なんにせよ、悠長に構えている余裕はなくなった。


「おい、生首」

「先代様と呼べ馬鹿者」

「うるせぇ。うちのやつで一番強いのは誰だ?さっきも言ったが、すぐに一番強い奴を勇者の所へ向かわせろ」

「お前の横にいるだろうが」

「俺の横?」


 俺は左右に視線を向けてみた。

 そこにいるのは……


「え?俺っすか?いや~照れるな」

「お前じゃないことだけは確かだな。って~と、ラグエルか」


 ラグエルなら納得がいく。

 確か、選抜の時もかなりの評価だったしな。


「ラグエル、お前なら不足が無いと思うが、どうか?」

「お言葉ですが先代様、私はこの場を離れられません。主であるゲド殿を守る役目もありますし、それに……」


 ラグエルが言い淀む理由は妹のマリアだろう。

 コイツが妹を置いて戦いに出るとは考えにくい。それに、俺としてもコイツが出ていくのは避けたい。相手の戦力が未知数な以上、信頼できる戦力はそばに置いておきたい。


「そうか……それならば、四天王ではどうだ」

「四天王?」


 聞き慣れない単語だ。名前から察するに四人ほどいるのか?


「この魔王城を中心として、東西南北をそれぞれ統治させている猛者たちだ。三十年前の勇者との戦いで先代たちは敗れ、今は新しい世代の者たちがその任についている」

「大丈夫なのかよそれ?一回負けてんだろ?」


 成り立てとはいえ、シャーリーももう勇者だ。一度負けた奴らが行って勝てるもんだろうか。


「三十年前の話だ。今の者たちは先代たちを凌ぐ実力を持っている。任せて問題ない」

「だったらすぐにそいつら全員勇者の元へ向かわせろ」

「全員だと?やり過ぎではないか?」

「うっさい!俺は心配の種が無くならないとゆっくり眠れない性質なんだよ」

「自分が親の心配の種だったくせによく言――すいませんすいません!核は勘弁してください!」

「わかった。それではすぐに彼らに連絡を取ってみよう」

「よし。んじゃ、今日はこれくらいで良いな。俺疲れたから、後は適当にやっといてくれ」

「ゲドさん、どこ行くんすか?」

「面会だよ、面会」


 俺は次の用事を片付けるために玉座から立ち上がると、スラ公たちに背を向けて、目的の部屋へと続く廊下へと向かった。


 * * *


「入るぞ~」


 返事を聞くこともせず、俺は部屋の中央へと進む。

 不躾に部屋に入る俺を、部屋の主はベッドから体を起こし目で追うが咎めることはしない。俺はそのまま奥へと進み、窓側のベッドの脇の椅子に腰かけた。

 この部屋は良く言えばシンプル、悪く言えば殺風景な部屋だった。家具は窓際にベッドが一つ。壁際に洋服ダンスと中央にテーブルが一つだけ。テーブルを取り囲むように椅子が二つあるが、一つは今、俺がベッド脇で腰かけている。

 まるで病室のような部屋だが、この部屋の主が病人であるためにある意味正しい形と言えるかもしれない。


「体の方はどうだよ?」

「おかげさまでずいぶん楽になりました。これも魔王様のおかげです」


 そう言いながらこの部屋の主の少女は俺に微笑みかける。透き通るような肌と整った顔立ち、エメラルドグリーンの瞳はずっと見ていたい魅力があった。

 彼女の名はマリア。側近であるラグエルの妹だ。

 ラグエルから聞いた話によると、小さい頃から病弱だった彼女は二年前に大病を患い、五年は生きられないだろうと医者に言われていたらしい。

 その病気は非常に珍しいもので、治療法を知る者は少ない。日に日に弱っていく妹を救おうと、ラグエルは世界中のモンスターが集まるであろう次期魔王選抜に現れ、そして俺と出会った。

 ラグエルのことを調べるうちに妹の存在を知った俺は、魔王の権限でマリアの治療法を探すことを約束、そして、魔王になったその日のうちにマリアを呼び寄せ、次の日には彼女の病を知る者を見つけ出し、彼女を治療させた。そりゃもう全部が大急ぎで、おかげで俺は昨日は部屋から出る気力すら湧かなかったよ。

 まあその甲斐あって、まだ安静が必要だがもう命の危機ってのは去ったらしい。普通の人間とは違う悪魔の体ってのもあるかもしれないが、すでにマリアは俺が初めて会った時よりも血色が良くなっていた。


「だからその魔王様ってのは止めろって。お前の兄貴にも言ったけど、ゲドで良い」

「分かりました、ゲド様。ところで、兄の様子はどうですか?」

「ん?まあ、まだ二日目だから何とも言えんけど、頑張ってるんじゃないか」

「そうですか。よかった」

「やっぱり心配か?」

「はい。兄は私のために無茶ばかりしていたので。今回の選抜も私のために出場したと聞いていたので心配していました。でも、まお……ゲド様の側近になると聞いたとき、私、本当にうれしかったです」


 言葉のとおり、本当にうれしそうだな。これが兄妹ってもんなのかな。


「それにしても、体調が良くなったみたいで良かったな」

「本当に、ゲド様のおかげです」

 

 うんうん。そうだろうな。俺のおかげだよなぁ。俺がいなかったら命の危機だったわけだし。

 いわば命の恩人?


「で、ものは相談なんだけど」

「なんでしょう?」

「いや、そのさ、実際、治療法を知っている奴を探すのは結構大変だったわけよ」

「……はい」

「だからさ、その、相応の報酬って言うか、お礼?みたいなものがあってもさ」

「もちろんです。私が出来ることなら、ゲド様が望まれること全て、喜んで」

「マジで!?」


 俺は心の中でガッツポーズした。

 ――ゲド様が望まれること全て

 う~ん、良い響きだ!

 

「それじゃあ、遠慮なく……ぐふふ」


 俺の右手がベッドの方へと伸びる。

 指先がマリアの絹のような金髪に触れ、風にそよがれるように髪が揺れ、その間を指先がすり抜ける。


「ゲド様?」

「大丈夫。何も怖いことはねぇよ」


 マリアは俺の言葉を信じたのか、ゆっくりと目を閉じた。改めてその顔を見てみると、やはり美しい。きめ細かい肌、真っ直ぐに筋の通った鼻先、引き込まれそうな大きな二重、そして、ゆったりとした部屋着でも分かるくらい豊かな胸は男なら誰もが我慢できなくなってしまうだろう。


 ――たまらん!


 焦る心とは対照的にゆっくりと指先を進めていく。その行く先は耳から下、顎先へ向かい、そのさらに下へ。緊張しているのか、マリアの白い首筋は小刻みに脈打ち、頬は少し朱を帯びているように見えた。

 そして、指先はさらにその下、部屋着へと向かい、その布先に触れようとしている。


「さて、それじゃあいよいよ……」


 俺の指が触れようとしたまさにその時――


「ゲド殿」

「――ッ!」


 その声に体が凍りつく。振り向こうにも体が言うことを聞かない。まるで本当に凍りついてしまったかのようにつま先から指の先、瞼すら動かすことが出来なかった。喉が急速に水分を失っていく。

 恐れる心を何とか鎮め、ゆっくり、本当にゆっくりと俺は振り返った。

 ――そして、死を覚悟した。


「ラ、ラグエル……」


 そこに立っていたのは金髪の好青年、側近であるラグエルだった。その鮮やかな緑の眼で見つめられれば大方の女性は頬を染めるだろうが、今の俺にはとても冷たく、そして恐ろしく映り、顔から血の気を引かせる。

 魔王選抜の時、俺はラグエルの気になる噂を一つ耳にしていた。

 ラグエルはたった一人の妹をとても可愛がっている。それこそ、目に入れても痛くないほどに。だが、その可愛がり方は異常すぎるほどだとも聞いた。妹を傷つける者には容赦せず、言い寄る男は一人残さず返り討ちにするという。

 その姿を見た者は口々にこう言うのだ、ラグエルは重度のシスコンである――と。


「ゲド殿」


 再び静かな声が俺の名前を呼ぶ。しかし、その静かさの中には、地獄の業火のような熱さがあった。


「ち、違うんだラグエル、これはな」


 死んでしまう。ここで回答を誤れば確実に死んでしまう。


「何を怯えているんだ?マリアのことを心配して見舞いに来てくれた、そうだろう?」


 ラグエルの右手が俺の肩に伸び、そっと置かれた――のも束の間、肩を掴む手に力が加えられた。まるで万力で掴まれているかのようだ。

 怒ってる!確実にラグエルは怒ってる!


「ラ、ラグエルく~ん、ちょっと力が入り過ぎじゃないかな?」

「何?あぁ、これは失礼した」


 力が緩まった。よし、逃げるなら今しかない!


「あぁ気にするなよ。じゃあ、俺はこれで――」

「まあ待てゲド殿、もう少し話をしようじゃないか」


 一刻も早くこの部屋を出ようとしたが、ラグエルの手が俺の左手首を掴んで放してくれない。

 話なんかねぇよ!てか、力強い!もげる!手がもげる!


「ラグエル、俺ちょっと疲れたみたいでさ、部屋で休もうかと思うんだ」

「ならここで休めばいい。なに、遠慮することはないさ、なあマリア?」

「えぇ、ゲド様は命の恩人ですもの」

「ほら、マリアもこう言っている!」


 マリアが全く悪意の無い笑顔をこちらに向けてくる。

 あぁ、癒される。言葉とは裏腹にこっちを振り返ったラグエルが今まで見たことも無いような形相で睨んでるのは見なかったことにしよう。


「ゲド殿、花は好きか?」

「ん?花?」

「我々悪魔の中には、物好きにも花を育てる者がいてな。かくいう私も花は大好きだ。大事に、大事に育てるんだ」

「へ、へぇ~」


 確かにとても大事にしそうだ。それこそ、目に入れても痛くないほどに。


「?」


 俺が視線を向けるとマリアがまた微笑みかけてくれた。思わず目じりが下がりそうになるが、それと同時にこちらを見るラグエルの顔がますます険しくなっていくのが非常に恐ろしい。

 なんなんだよコイツは!?ちょっとくらい良いだろうが!


「苦労は多いが、それでも蕾をつけ、花を咲かせた時の喜びはひとしおだ。それまでの苦労など全て吹き飛んでしまう」


 正直なところ、今はこっちが吹き飛んでしまいそうな心境である。もっとも、それくらいで済めば安いものかもしれないが。


「植物を育てているときに、特に苦労するのが害虫だ。人間たちの世界でもそうだろう?我々の世界の害虫はそちら側とは比べ物にならないくらい厄介でね。薬などでは殺せない。ではどうすると思う?」


 聞きたくない。というか、なぜ腰の剣に手を伸ばす?


「己の力を使うのさ。魔法が使える者は魔法で、火に強い植物ならば己の吐く息で害虫だけ燃やしてしまう者もいるという。私はと言えば、自慢の剣技でバラバラに切り刻む……一片の肉片も残さぬように!」

「は、はぁ~、なるほど~」


 近い!顔がすげぇ近い!怖いよこの側近!


「なぁ、分かるだろうゲド殿?私は花を汚す害虫が大嫌いだ。だから……」

「分かった!よ~く分かった!大丈夫!俺も害虫は大嫌いだ!」


 俺は全力で首肯した。今自分に残された生存への道はこれしかない。下手をすれば魔王になって数日で側近に殺されかねない。

 その後、俺は命からがらマリアの部屋を後にした。サバスチャンが何度か部屋を訪れたが、ベッドから一歩も出る気にならなかった。


 * * *


「おはようございます、ゲド様」

「あぁ、おはよう」


 おはようと言っても、時刻はすでに正午少し前、ベッドから上半身を起こしただけの俺はまだ目を擦っている。 

 昨日、寝ようとするたびにマリアの部屋での恐怖が頭をよぎりなかなか寝付けなかった。その結果がこれだ。


「実は、ゲド様にご報告しなければならないことが」

「ふあぁ?」

「昨日四天王方にお送りした伝令なのですが、まだ返事が返って来ておりません」

「あぁ、そう」


 今の俺には全くどうでもいいことだ。

 そんなことより今日の朝飯はなんだろう。


「代わりに、このようなものが」


 そう言ってサバスチャンが恭しく出したのは一通の封筒。その裏側は三又の矛の両端に蝙蝠のような翼をあしらった封蝋で封がされている。そして、右下には「ゲド・フリーゲスへ」との一文が添えられていた。

 この印は見たことがある。テーブルや椅子の装飾、はては城門にさえ設えられたそれは、魔王の軍勢の証だった。


「誰から?」

「いえ、昨日届いたのですが、差出人が記載されておらず……」

「そっか。どれどれ……」


 封を開けると、そこには一枚の紙が同封されており、何やら長々と書き記されていた。

 几帳面とも思えるほど均一に間隔を開けて記載されたその文字群にゆっくりと目を通す。


「え~、ゲド・フリーゲス、この手紙は私からの――」


『ゲド・フリーゲス、この手紙は私からの宣戦布告である。我が名はグラーク・サタニウス、真に魔王を継ぐ者。茶番によって選ばれた貴様は私の怒りを買った。よって貴様の魂は私の怒りの業火によって――』


「もういいわ。長い。読むのめんどくさい」


 半分も読み進まないうちに俺はその手紙を丸めてゴミ箱に放り込んだ。

 だって、ダラダラと文句が書いてあっていつまでも要件に触れないんだぜ?

 そんな手紙にいつまでも付き合うほど俺は暇人じゃないし善人でもない。


「ゲドさ~ん、目覚めました?」


 下らん手紙に気分を削がれた俺は再び寝る姿勢に入った。なんかスラ公の声が聞こえた気がするが、無視だ無視。俺には睡眠が足りんのだ。


「サバスチャンさん、あの手紙、ゲドさん見ました?」

「それが、ご興味を惹かれなかったようで、あちらのゴミ箱へ」

「はぁ~、まったく、大事な手紙だったらどうするんすか。どれどれ……嘘だろ!?」

「んだよ、スラ公、朝っぱらからうるせぇぞ」


 人がゆっくり寝ようって時に何を騒いでんだこの軟体生物は?


「もう昼っすよ!って、んなことはどうでもいいっす!」

「なんだよ?」

「あの手紙の差出人、誰だと思ってるんすか!?」

「あ~?知らねぇよ。俺、こっち側に知り合い少ねぇもん」

「先代様の御子息っすよ!」

「あっそ」


 それから俺は再び眠りの世界に旅立った。

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